27メートルのゴミの山 ナポリゴミ騒動 続き

先日友人から届いたメール以来*1ナポリ周辺地域のゴミ問題が気になっていたのだが、一月四日付けでレプブリカ紙に掲載されたフランチェスコメルローという人物の「ゴミが民主主義を殺す」という記事を見つけた。イタリア人記者の類に漏れず彼も相当の左捲きのようで、曰く
担当する地域の問題を解決できないような首長は罷免されるべきなのである。共にナポリ市長であるところのイエルボリーノ女史及びバッソリーノ氏は今すぐナポリのゴミ問題解決のための技術的・政治的解決策を提示するか、さもなければさっさと退陣して、より勇敢で、より力強く、より良心的な誰か別の人に期待できるようにすればいいうにょうにょ
みたいなアジが延々と続くのだが*2、終盤の一節がナポリの窮状を非常にリアルに描写していると感じたので転載しておく。

私はパリのビクトル・ヒューゴー広場にイタリアンレストランを経営するあるナポリ人の友人を持っている。で、彼のお店の壁には彼の母親、少々腰の曲がった、ショールを肩にかけた老婦人が、彼女の住むアパートの7階(日本で言う8階)のバルコニーに現れ、ゴミの入った袋を捨てている場面の写真が飾ってある。ちょうどそのバルコニーの手すりの高さまで積み上がった、27メートルのゴミの山の上に。

Ho un amico a Parigi, un napoletano che possiede un ristorante italiano in Place Victor Hugo. 
Ebbene, attaccata alla parete ha la foto di sua madre, un vecchia signora un po' curva con uno 
scialle sulle spalle che si affaccia al balcone del suo appartamento al settimo piano e deposita
 un sacchetto di spazzatura sulla cima di un monte di rifiuti, ventisette metri di immondizia, 
che arriva appunto alla sua ringhiera.

"Democrazia uccisa dalla Spazzatura" Francesco Merlo 04-01-2008, La Reppubblica


まあ、イタリア人の言うことだから、話七割くらいに聞いておいた方がよいとは思うけれども、わりとナポリ市内さえこんな状態らしい。しばらくカンパーニャ州一帯に近寄るのは止した方が良さそうだ。
そもそもツーリストに大人気の南部イタリアだが、実際北部〜中部イタリアよりも圧倒的に優れている点はご飯が美味しくて物価が安いこと以外にそれほど思いつかない。人情があるとは言うが、誰もが大阪風の付き合いを好むわけでもなかろう*3
せっかくの機会なので、近々イタリア旅行を予定している人は、中北部イタリアを重点的に回ってみてはどうだろう。白い聖堂のミラノ、水音響くヴェネツィア、良くも悪くも京都風のフィレンツェ、エロ学生集うボローニャアメリカ人のすね毛揺れるトスカーナ
そんな大都市だけでなく、国鉄の車窓に広がるパダーナ平原は、カノッサの屈辱、ナポレオン妃マリア・ルイジア、赤十字発祥の古戦場ソルフェリーノ-サン・マルチーノ等々、歴史の授業で耳にした数々の事件の舞台が日常の中に散らばるエリアである。ただ、ご飯だけは不味い。どうにかならんものか。

*1:美しきナポリ http://d.hatena.ne.jp/hajic/20080104/p2

*2:気になる人のために記事キャッシュへのリンクを張っておく。 http://cc.msnscache.com/cache.aspx?q=72745369862221&mkt=ja-JP&lang=ja-JP&w=788eafe&FORM=CVRE2

*3:僕は好きだが、旅行者としてわざわざ良いカモにされにいく必要はあまり思いつかない。まあ南部では乱暴にカモられ、北部では丁重にカモられるだけだという噂は否定できないが。