ニュー・ニコマス・パラダイス前後編

 ニコマスファンでまだ見てない人がいないとも限らないのでご紹介。
あらすじ付き。


Nuovo Nicom@s Paradiso(primo)

    http://www.nicovideo.jp/watch/sm3653363
【あらすじ】
 トトは可愛いアイドルたちの姿を録画しているのに飽きたらずMAD制作者になった典型的ニコマスPの一人。新しいDLCを心待ちにし、様々な技術や工夫を加え、次々と制作されるたくさんのMAD。ニュー・ニコマス劇場で公開される彼らの動画はみんなの楽しみだった。ジャンルは広がり、増え行くMAD。
 しかし、徐々にファン同士の対立が生じ始め、ある日、トトを含む幾人かの商業活動が大きな非難を浴びてしまう。議論は沸き返り、批判は殺到する。擁護者の発言は火に油を注ぐ結果となり、ついに劇場での新作公開さえ憚られる事態に。そしてトトはニコマスを去る決意をする。


Trama:
Toto e' uno degli autori di "iM@S MAD". Su una sito internet, si chiama "NicoNico Douga(video-pradiso)", con altri compagni, lui mostra le sue opere; AMVs quello che si usano videos captati originaliamente videogioco "idolm@ster", se ne ricostruisce tagliando e combinando le scene, aggiungendo le mugiche e effetti visivi/uditivi. Loro producevano tanti arti con gioie e lodi, ma un giorno, capita grosso problema: una attivita commerciale d'alucuni produttori(include Toto) e' violentamente biasmata, ma visto che gli autori sono stati amati da tanti fans, naturalmente quelli fans diffendono i loro atti....ma sfortunatamente i giapponesi non sono molto forti di discussione; dispute inutilmenti, calunnie...cosi' l'ambiente di iM@S MAD ormai non e' cosi come si trovava una volta. Alla fine, Toto decide di uscire da Nico Nico Douga, per diventare un "vero" autore.


Nuovo Nicom@s Pradiso(secondo)

    http://www.nicovideo.jp/watch/sm3653829
【あらすじ】
 いつしか本当のプロデューサーになり、故郷に帰ってきたトト。長い年月の末に、ニュー・ニコマス劇場は放棄され、ついに解体の日が来ていたのだ。かつてのファンたちの見守る中、劇場は爆破され崩れ落ちる。そこで彼に手渡されたものは、かつてトトを諫め、プロとしての道を進む彼を激励した人物の残したフィルムだった。それは削除対象となり消えていったり、プロデューサーが自主的に削除していった、今はもう見ることのできないMADたち。

 「このフィルムを見て、あの頃の気持ちを思いだして欲しい」


Trama:
Il tempo vola. Toto e' diventato un autore notato(proprio come quel protagonista "Nuovo cinema Paradiso") e tornato a Teatro Nico Nico per essere un testimone di momento; ormai e' gia' abbandonato e sta finendo. Dopo di che, lui vede un film. Dentro c'e' "i MAD ignorati e sepolti per cio' non sono stati compresi dalla societa".


 なんだかティッシュが大量にゴミ箱にはいってるんですが・・・。
想い出ボムってアイドルに撃つんじゃなくて、自爆するものだってよく分かります。
こういうの、英語字幕付けて再掲したいですね。許可が出れば。


【感想】
 「ツンデレカルタ騒動」*1の片棒を担いでしまった僕としては、あまりにも複雑な感情を抱かせられる作品です。思えばあれが、僕が本格的にニコマスの世界に足を踏み入れる契機だったような気もしますが、それはともかく。


 二部で形成されるこの作品。前半は事実に基づいたフィクションです。ファンがアイドルマスターの魅力に惹かれニコマスPになっていく姿。高度化していくMAD作品。狭いサークルの中でわいわい集まって新作を鑑賞し、新しい要素の投入を心待ちにするファンたち。一方、人気が出るに従って発生する不協和音。そしてカルタ騒動・・・。*2

 後半の二つのクライマックス。劇場がニコニコ動画という舞台を模していることは明白ですが、それがボロボロの姿で放棄され、大音声と共に爆破されるシーンは、いずれ必ず来るニコマスの終末を容赦なく描いた、初めての事件です。どんなに楽しい動画を見ても、同時にふと気づいてしまう。こんな楽しい時間がいつまでも続くわけはない。いつも朗らかに見えますが、ニコマスの視聴はその想いと裏表。カルタ騒動しかり。*3

 そしてラストシーン。もはや言葉は要りません。泣き笑いで震えるトトの姿は、ある人にとっては奇妙でおかしなものでしょうけれど——またある人にとっては、自分そのものであるはず。フィルムに映し出されるのは、ニコマスの歩んできた小さな歴史。その中の一つの物語を、既にニコマスを去ったあるプロデューサーをモティーフに描いてきたこのフィクションは、ここにおいて現実とラップします。

 XBOX360アイドルマスターの商業的成功や、ニコニコでの輝かしい成果が大々的に語られる一方で、実のところ、ニコマスにはいくつものやるせない出来事がありました。この『ニュー・ニコマス・パラダイス』、それ自体が著作権侵害じみた作品であり、ニコマスという世界の抱える泣き笑いを体現しているのは、皮肉としか言いようがありません。*4


 笑ってばかりの世界ではない。どころか、理不尽なこともたくさんある。だとしても、これからも僕はニコマスを応援したい。たとえその結末が劇場の爆破だとしても、「あの時の気持ち」はいつまでも、想い出として残るでしょう。

*1:昨年末、ニコマス有名Pたちが企画した同人企画。「ニコマスという著作権違反行為で得たネームバリューで商売をするなど言語道断」という批判が行われた。結果として多数のPが引退、ニコマスの一つの時代が終わる。詳細は以下のリンクを参照のこと。http://d.hatena.ne.jp/sikii_j/20071125/p1

*2:それはもしかすると、ニコマスファンとは何かについて再考する機会を欠いていた結果として、起こるべくして起こった事件だったのかもしれません。カルタの姿をとってはいるものの、本質は別のところにあったのかも知れない。本作はそんなことも考えさせてくれました。

*3:きっとその日が来たとき、僕らはこの『ニュー・ニコマス・パラダイス』をまた見ることになるでしょう!

*4: 原作でトトがフィルムの中に見るのは、かつて「不適切である」として検閲され削除されていた映像集。それは今では子ども向けアニメにさえ登場しかねない、なんでもない、ただのキスシーン。いつかニコマスもそんな風に考えられる日が来るのかもしれません。