『AIR』についての投稿へのレス

悲劇はバッドとイコールじゃない、というのが僕の姿勢です。
例えば「最悪の救済」というものが世界にはあって、すなわち死ぬことですが、物語論的には主人公達がみんな死ぬのが悲劇です。ギリシャ悲劇なんかですね。みんな死にますがもう苦しまなくて済む。考えようによっちゃ神の御許に行ける。幸せです。

参考:『隣の家の少女』 あらすじ:一つ年上の女の子が虐待を受ける姿を13歳の視点で眺める。
隣の家の少女 (扶桑社ミステリー)


反対に喜劇というものは良くわからない。
生きていたら喜劇というわけでもないらしい。笑わせる必要があるわけでもないらしい。
悲劇は誰でも書けるのですが、喜劇のなんたるかはアリストテレスさえも定義し得なかった難題です。
そして喜劇が幸せに終わるとも限らない。むしろ苦い結末であることが多い。

参考:『薔薇の名前上下巻』 あらすじ:笑い話のために人がたくさん死ぬ。
薔薇の名前〈上〉 薔薇の名前〈下〉


AIRはある意味傑作だと僕も思います。ただし人には薦めようとは思わない。
楽しんで貰える自信がない。案外これは喜劇なのかもしれない。さっぱり笑えないけれど…。そんな話でした。

投稿ありがとうございます。リンク先、読ませて頂きます。
http://d.hatena.ne.jp/hajic/20050106#c1173999929