『ぴヨナ=ピコナ』


「愛すべき馬鹿ゲー」なる恥ずかしい言葉を僕は比較的よく使う。言うまでもなく、もちろん極めて好意的に。そして本作はまさにその愛すべき馬鹿ゲーの一本で、あえて例えるなら、ひび割れたこころにラードを塗り込んでくれるような、そんなお話。

主人公は神族の王子かなにか、とりあえずぼんぼんの楽天家、悪く言えばアホで考えなしなのだけれどおかげで常にお話がパッパラパー、湿っぽくならないのが素晴らしい(とは言えヒヨコルートなどは若干引っかかるものがあるが)。毎日晴れの日である。

一方ヒロインたちもポニーからツインテールからヘルメット系からロリ←→大人教師とバリエーションに富み、というか適当に並べただけじゃんという気持ちはあえて押し殺して褒めている僕を責めないで欲しい、まあ満足のいく顔ぶれに思える。

真面目に考察するのがこれほどアホらしい作品もない。けれど本作は考察なんてのは、エロゲーにおいて、あくまでメタ的な楽しみ方の一つでしかないことを実感させてくれる。何も考えなくても楽しい、むしろ考えないから楽しい。まさにアホゲーの真髄。

と、念のために。本作は間違っても期待するような作品ではない。肩の力を抜ききって鼻をほじりながら「アッホでー、レン」とか言いながら足の親指でエンターキーを押してみる程度の作品である。ただ、それでも、僕はこの世界がなんだか好きなのだ。