雨上がりの歩道で

巨人は、限りなく哀しいことを見たかのように、声なく泣きじゃくっている

約二ヶ月振りに雨が降る。霰混じりのとんでもないやつで、車の天井から窓からばらばら騒々しい。あんまり酷いからスーパーの駐車場でやり過ごしたほどの雨だったのに、駅前で降りるころにはすっかり上がってしまって、傘も持たず何事もなかったように道行く人を見ていると、まるで狐につままれたような気分。これはきっとどこかでとてつもなく哀しいことがあったに違いない、などと勝手に決め付けながら家路についた。
共用の台所でたまねぎをバター炒めにしているところへアメリカ人が帰宅。さっき道でアリソンとマテオが抱き合ってキスしてた、ちょっと友人のそれには見えなかったな云々。ふむ、アリソンには国に彼氏がいたはずだけれど。近頃、電話を受けるたびわりに沈みがちだったのは、案外そんな理由だったのかしらん。笑顔の素敵な真面目な女の子だから、少し意外ではある。それに、確かに哀しいことかもしれない。