エロに非エロを足すのではなく

エロゲ引退宣言をする人が増えている気がします。まあこの手の人々は気に入った作品が出るとのうのうとプレイ日記を書き始めたりする(おまけに投げ出す)ので引退と言ってもアテにはならないのですが、少なくとも彼らがエロゲを読む頻度が格段に落ちたことは間違いありません。何故かと言えば単純な話、近頃エロゲがつまらないからで、などと言うと「エロゲなんざ昔からつまらん」というチャチャも入るでしょうが、つまらないにしても限度があるのであって、いくらかの人々にとってはエロゲの平均つまらなさレベル(ATLとでも呼びましょう)がその限界を越えてしまったことは事実なわけです。

などと持って回った話をするのはやめて、つまるところ最近のエロゲはつまらんでしょう。学園か田舎か宇宙で魔法か超科学か怨念か何かそんなものがバーンと飛び交って画面がビカビカ光って揺れて、悩まなくて良いことで主人公が悩む。そんなお話はもうたくさん。そんなことしなくていいからもっとエロエロしていなさい。もっとも、エロエロばかりするというのは実は一番難しいのです。平成デカダンス極まる今日、もはや穴に刺したらエロになるわけではありません。好例が例えば『はぴねす』なんかで、あんな何というか、ただのエロシーンにどこまでも続く底なしの深淵みたいなものを感じさせる作品はありませんよ。こわいこわい。

冗談はともかく、エロ自体はなんというかその、それ自体は大変散文的な行為なわけですから、これをなんとかして上手に美化しないことには、そのシーンは犬の繁殖と変わらないことになります。エロゲーというメディアはこの意味で非常に興味深い特性を持っていると言えるでしょう。すなわち、エロゲーは宿命的にエロをいかにオブラートに包むか、という使命を帯びているのであって、言い換えるならこれはもう、エロをどこまで昇華できるかという、まさに汎人類的なテーマを持ったメディアなのです。実に凄い。こんなの許されるのは日本だけです。メーカー様には、すべてのシーンはエロに通ず、という鉄則をきっちり守り、エロから逃れられないという原罪を踏まえた上でですね、果てなきアガペーへの道を極めて貰いたいものですね。


と、酔っぱらいが何やら呟いています。