海がきこえる2

海がきこえる〈2〉アイがあるから (徳間文庫)

海がきこえる〈2〉アイがあるから (徳間文庫)

武藤里伽子がさっぱり普通の悩める少女になってしまったので宮台の好きな「僕の知らないことをみんな知ってる美少女」式ロマンチシズムはあっさり崩壊した。当然もう彼は解説を書かない。代わりに「理解できるけどどうにもならないダメ美人」たちが主役を張る。痴情のもつれ。こんなものに処方箋はないので当分放っておく他に手はなく、今のところシリーズ続刊の出る気配もない。当然話は収集がつかなくなり、いつの間にか妙に物わかりの良くなってしまった拓が「きみと一緒だからこそ世界はこんなに美しい」とか何とか言って締める。これこそ女性式ロマンチシズムではないかしらと一瞬思ったが僕にはわからない。
ええと、宮台式ロマンチシズム、世界の理を統べる少女の謎に決着がついた時、後に残ったのが昼ドラ式他人の不幸見物で、主人公であるはずの拓と里伽子は幸せな視聴者になってしまうというのは面白いと思った。世界は予定調和的な二人のためにあって、調和しない人のことなど本質的にはどうだっていいのだ。なぜってアイはいつも万人に対して存在するわけではないのだ。人のことを構っているほど私の心に余裕はないの。現実現実。
こういう方向に行かず、全員ハーレムに入れる勢いでむりやり解決しようとするのがそれなんてエロゲー。いや誰か一人選ばないといけないけどそうすると他の全員が不幸になるからと色々悩むのがそれなんてエロゲー。あるいは全員が積極的に私を選んでと互いに妨害工作の限りを尽くしもう見てられない状況になるのがそれなんてエロゲー。いい加減鬱陶しくなっておかずシーンだけ見て満足するのがそれなんてエロゲー。
僕はやっぱり世界の秘密=少女システムが好きです。ロマンロマン。ニアニア。トルタトルタ。