ミラノそっちのけ

昨年末からミラノへ行っていた知人が帰国。おみやげになぜかベローナの街案内本を貰う。ベローナといえば中央広場脇のバールで焼きサンドイッチを頼んで「7ユーロ」と言われて吃驚し、ショックでふらふらうろついた後アレーナの屋外オペラの5等席で寒さにブルブル震え、ほとんど聞こえないアイーダを前に座った巨大なアメリカ人たちの耳の脇からぼんやり見つめて風邪を引いた思い出の残る素敵な街です。


そんな完全に観光地化したいけ好かないフィレンツェよりはまし)街ではありますが、「ロミオが足繁く通ったジュリエッタの家」が無料公開されているのだけは良心的でした。アイビーの絡む思いがけず小振りなその家の前の小さな広場には、ジュリエッタの像なる銅製の彫刻が立っていて、胸を触ると素敵な恋が出来るとか何とかで女性陣はぞろぞろとジュリエッタの胸を触りに行きます。一方男性陣はさすがにそういうわけにも行かずうろうろするのでこの庭はいつも混雑。なお、どういう訳かジュリエッタの像は右胸ばかり触られるために右胸だけがすり切れて常に金色に光り輝いているためにちょっとインパクトがあるのでした。


ジュリエッタの胸はともかく、なんの話でしたっけ、そう、ベローナよりもラベンナが個人的には好きです。実際のところ何もない街ですが、聖ビターレ聖堂の荘厳さと来たらあなた! 必見ですよ。だまされたと思ってイタリア旅行の際はぜひ行程に組み込んでください。だまされる可能性もありますが、ビザンツ様式の流れをくむモザイク壁画のトリが実に可愛いので「まあいいか」という気分になるでしょう。私のいい加減な記憶が正しければこの町はかつてボローニャの配下の港町だったのですがずぶずぶ海に沈んだか何かで衰退。名前は忘れましたがもう一つの港町はどんどん干上がって港どころではなくなって衰退。あおりを食ってボローニャも衰退、威信をかけて建築中だった聖ペトローニオ聖堂はルカ14章30節状態に。まったくついておりません。ところでなぜラベンナかというとベローナとラベンナは何となく似ていると思いませんか。


ミラノの話はどこへ行ったのでしょうな。