ツンデレカルタ騒動

http://d.hatena.ne.jp/sikii_j/20071125/p1 釘宮理恵ツンデレカルタ企画のスタッフにアイマスのPが大量参加*1
アイマスMAD重鎮たちの企画による『釘宮理恵ボイス読み上げカルタ』発売がアナウンスされて以来、燻っているらしい問題。乱暴に要約すると「アイマスMADで売った名前で個人企画通すなどけしからん」ということの模様。いかにも2chの好きそうな話題です。*2


「今のところMADにお目こぼししているバンナムも規制に動かざるを得なくなる」「アイマスMADの寿命を縮める」という意見がもっともらしく幅をきかしているようですが、規制に動くって、この企画がバンナムにどんな悪影響を与えると言うのでしょう?

アイマスMAD自体が黒なのは確かです。アイマスMADで商売したら規制されて当然でしょう。けれどそれとこれとどんな関係が? 勝手に名前を売られたバンナムが腹を立ててアイマスMADに絨毯爆撃をかける? 馬鹿な。それこそ商品としての『アイドルマスター』の終末ですよ。

もちろん、バンダイナムコゲームス(や他のあらゆる組織、集団、個人)に対するリスペクトを忘れることは出来ません。アイマスMAD自体で商売することは論外ですし、あらゆる手段を通して彼らに感謝の意を示す姿勢の維持は筋の通った態度でしょう。しかし、アイマスMADで名の知られた人々の個人企画にまで反対するのは、全く筋違いなネガティブさと言うほかありません。繰り返しましょう。これがどういう点でバンナムに悪影響を与えるのですか?

僕は言いたい。むしろ、ここで企画を潰すことこそ、2chに代表される古き日本的な規制指向(「和」を乱さないために、とりあえず何でも規制する)のアイマスMADへの導入であり、それはつまりアイマスMADという本質的に拡張的な文化自体に対する死刑宣告だと。なぜなら究極的には「アイマスMADは著作権的に黒だ。バンナムが認めない限り製作は自重すべきだ」という話であって、しかもバンナムにはこれを認めることは出来ないからです。*3


ある意味2chは、(巷の評価に反して)実に日本的なBBSです。スレ立て一つで周囲の機嫌伺いが必要であり、強硬な意見を吐きつける投稿がナアナアのうちに主導権を握る。そしてその意見自体の正当性についての議論は行われない。「和」という実体不明なものを守るために行動の統一が求められますが、その「和」を要求する意見の主体自体が極めて理不尽で乱暴であることが非常に多い。日本社会で毎日起こってることですが。

とは言え、ここまで騒がれた以上(僕も片棒を担ぐことになったのですが)、バンナムも何らかの態度を示さざるを得ないでしょう。これもまた日本社会、どんな理不尽な意見に対しても、それなりの落としどころを探さないことには許されない国です。カルタ騒動の収拾に向けて強く推したい方向性は以下。

おっさんが、ひろゆき氏に対してすごいなと思うのは、「ネットの世界の先を読んで、自分へのバッシングや訴えをものともせず、問題の落し所を示す」点にあります。これが出来るのはすごいですよ。
http://d.hatena.ne.jp/MuhKurutsu/20071124/1195892034 「ひろゆき氏の才能って」


「落とし所を探す能力と努力」。発売されるのであれば、意思表示も兼ねて購入したいと思います。

*1:メーカーページ: http://www.dears.co.jp/news/archives/35.html

*2:むしろ2ch文化VSニコニコ文化という構図なのかもしれない。事実、本稿中の「アイマスMAD」を全て「ニコニコ動画」に置き換えても意味は通じる。

*3:加えて、人類文化に存在するあらゆる概念を素材にすることが可能なジャンルとしてのアイマスMADには、どうあがいても全ての知財的懸案をクリアすることは不可能。ならば自主規制するのではなく、喜びを持って受け容れて貰えるようにアクションしていくことがポジティブかつ建設的な姿勢だろう。もちろん、最高に繊細な注意を払いながら。