広大な世界で芋を引く

ニコニコ動画アイマスMAD総数が15,000を突破したそうです。はっきり言って見切れません。来年にL4Uを控えて、数万を数えるのも時間の問題。一生楽しめるジャンルになりつつある反面、アイマスMADに興味を持った人が「とりあえず当たってみよう」とホイホイその気になる際の障壁も、ますます上がりつつあるような気がします。

例えばクラシックとかああいうの、みんな良いって言うからベスト買ってみたけど今イチ・・・という人は案外多いわけですが、あれを楽しむには(1)とにかく問答無用の名曲、でなければ(2)背景舞台なんかへの思い入れ*1、さもなければ(3)専門知識、と言ったものが必要になってくる。
アイマスMADに当てはめた場合、(1)は「問答無用の(何らかの意味での)キャッチーさ」、(2)は「ストーリー知識」、(3)は「各種テクニックへの視点」といったところ。で、ニコニコランク上位で偶然アイマスMADに触れたような人にアピールするのは当然(1)ですが、そんなに誰にでも分かりやすくキャッチーな作品はけして多くない(からこそ、それらはランク上位に上がってくる)ことは自明です。故に、ふと興味を持った人がとりあえず適当なアイマスMADを見た時、彼が出くわすのはまず(2)(3)的な作品でしょう。


http://www.youtube.com/watch?v=fhh1NN3PMdM
↑こういうのは流石に、そうそうない


しかし、(2)はアイマスあるいはニコマスの知識がなければ効果を発揮できませんし、(3)は映像や音楽関連の環境にある人以外にはなかなか理解されない魅力です。「見てくれ、この千早の胸がフレーム単位で盛り上がって行くんだ!」と説明してもきっと分かる(興味を持ってくれる)人は限りなく僅少ですから、運良くアイマスMADに興味を持った人もその殆どは「ふーん」と呟いてチーターマンか何かに戻ってしまう。
もちろん(1)の「キャッチーさ」は人によりそれぞれ異なり、究極的には好き嫌いに他なりませんから、呆れるほど広いジャンルをカバーしているアイマスMADの世界においては、全く興味のない人でさえも、ぐるりと界隈を見渡せば何か好きなものが見つかるはず。しかし今やアイマスMADの世界は初めての来訪者にとって広大過ぎます。それなりの人にさえ「見回したつもりが井戸の中だった」という状態かもしれません。あまりに広すぎる。広すぎて、好みの糸口にたどり着けない。


こんな世界においては、「芋づる式紹介」が効果的ではないかと思います。要は気に入ったMADから他のお勧め動画へのリンクが張られているという、Youtubeのあのシステム。Pさん自身にコメント欄で言及していただくのが最高(徐々に増えている気がします)ですが、ブログでの紹介の際にも何らかの文脈に沿った紹介が行えれば素敵かもしれません。
その意味で、例えば『黒春香(春閣下)動画まとめ*2』さんの方針は非常に参考になりそうです。もちろん、アピールする範囲が限定されるという弱点はありますが、アレならコレを見ろ! と言えるのはやはり大きい。それぞれ限定的だとしても、興味のラインを容易に辿ることのできる仕組みが多数整備されていけば、益々多くのファンが生まれるのではないでしょうか。

*1:例えば『プリンセス・チュチュ』を見たあとは、それまで退屈だとしか思わなかったような曲がそれぞれ鮮やかなストーリーを持つでしょう!

*2:http://harudou.blog115.fc2.com/