For RITZ


ジャケットがこれで、収録曲があれな以上、for RITZはまさしく岡崎律子という作り手にとっての『SR』の結末と言って良いだろう。だからこのアルバムの最後にひょっこりと付け加えられた曲、「for フルーツバスケット」(原曲はアニメ『フルーツバスケット』から)こそは、岡崎律子自身の『シンフォニック=レイン』に対する答えであったに違いない。事実、『SR』という物語と「for フルーツバスケット」という歌は、思いの外美しく響き合う。春はまだ遠く、生まれ変わることはできないけれど……心ごと全て投げ出せたなら…lets stay together…

彼女の最後のアルバムの、最後に贈られたこの歌。それこそは彼女が最後まで歌い続けた想いの核心、彼女の心からの願い。そんな彼女の想い、それはSRという物語を構成する全ての歌の中にある。そしてSRは、それらの歌が織りなす物語によって、語られた。『シンフォニック=レイン』は、間違いなく、岡崎律子の物語であり、彼女が最後に残した、美しく悲しい――そして真実の "opera" なのだと思う。