はじめてのアイマスMAD
誰にでもわかる、包括的なジャンル紹介
「日本人は形から」という葛城ミサト女史の言葉にもあるとおり、何事も枠組みを決めてから行動に移るのが大好きな日本人として、分類と解説がアイマスMADの敷居を引き下げ、新たなるファン獲得の大きな助けになること、あるいはせめて世間一般の好意的な認知の呼び水となることを信じて、「アイドルマスターMADの包括的な初心者向け説明」を試みようと思います。
結局のところ、ジャンルは非常に膨大なサイズに(少なくとも、ちょっと覗いたぐらいでは全容が掴めない程度には)膨れあがっていますが、本質的には幾つかのパターンに分けられるため、興味を持った人はそれに照らしながら自分の好みを探って行けば良いのではないか、という話です。併せて、アイマスMAD界隈で使用される頻出重要語の説明も行います。今となってはあまりに普通に用いられるため、恐らく解説を見つけるのもちょっとした手間かと思うので。
なお、登場するキャラクターのプロフィールに興味をお持ちの向きは、当サイト過去記事「アイマスMADキャラクター紹介」*1または「アキリツ大百科解説」*2を参照ください。
A)アイマスMAD頻出用語
アイマスMADの世界に初めて足を踏み入れようと思う人がまず出会うと思われる用語です。
知らなくても特にどうということはありませんが、知っていると得した気分になるでしょう。
特にPという呼称の存在は、好みが固まるにつれて次第に重要になってくるかもしれません。
【アイマス】
バンダイナムコゲームス制作のアイドル育成シミュレーションゲーム、『アイドルマスター』の略。元々アーケードゲームだったものが、人気に応えて(どういうわけか)XBOX360用コンシューマーゲームとして発売されました。他のハードで発売されていれば自分も買ったのに!とぼやくファンは多いのでは。ちなみにゲーム内で使用できる追加コスチュームがネットを通じてDL可能であり、この売り上げが全世界で二位を獲得するという状況(07年10月現在、『アイドルマスター』が発売されているのは日本のみ、かつソフト売り上げが5万本程度であるにも関わらず)を踏まえて、近頃廉価版が発売されました。ますます他のハードで発売されていれば自分も(以下略
- 出版社/メーカー: ナムコ
- 発売日: 2007/11/01
- メディア: Video Game
- 購入: 10人 クリック: 240回
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より詳細なゲーム情報に関してはアイドルマスターWikipediaを参照。
【アイマスMAD】
アイドルマスターMADの略で、『アイドルマスター』を題材とした創作作品。2007年初頭頃から現れ始め、次々に革新的な変化を遂げながら現在に至る。主に動画を指して使われる言葉ですが、静止画や漫画に音楽をつけたものなど種類は多様。発表の場は主にニコニコ動画上であり、06年末のXBOX360移植版発売以来、ゲームプレイ動画なども含めると、現在では一万数千の作品数を数えます。*3 ファンによる需要が高く、また新作の製作頻度も高いため、良くも悪くもニコニコ動画を騒がすジャンルとなっています。紹介上の便宜性からYoutubeなどにも多数転載・投稿されていますが、こちらはしばしば「アイマスビデオはもう十分だよ」とぼやく海外ユーザーの頭痛の種になっている場合もあるようです。
【P】
プロデューサーの略。本来は『アイドルマスター』での主人公を指していたものが、転じてアイマスMAD(またはアイマス系動画他)の作者も意味するように。「わかむらP」「しーなP」という風に、名前にPをつけた形で使用され、ファンからの敬意と感謝と好感を込めて扱われます。なおゲーム内では最大10人ものアイドルを育成する敏腕プロデューサーの卵なのですが、結末によれば彼女たちとの関係を仕事以外のそれにする(ことが匂わされる)場合もあり、さらにしばしばセクハラ行為にも及ぶため、変な意味でリアルで困ります。マネージャーとかいないのかな。
【コメント職人】
「動画上にコメントが入れられる」というニコニコ動画のメリットを生かし、投稿作品に(文字による)装飾を行う視聴者のこと。高度なものはコメントであるとさえ気づかない程の完成度を持ち、彼らの登場は他の視聴者を大いに沸かせる。ただし、あくまで一般コメントであるため、コメントの累積に応じて過去ログに沈む運命からは逃れられず、投稿された形での装飾を鑑賞できるタイミングは人気作になればなるほど限られる。故に、ふと見事な職人芸に出会った時は、まるで散る桜を見たかのような感慨に浸ることが出来るでしょう。心から美しい文化だと思います。ニコニコ動画プレミアム会員(後述)になれば過去ログを参照したり、気に入ったコメントを保存する機能も存在。(カズマさん、ご指摘ありがとうございます!)
【Project iM@S、iDOLM@STER】
バンダイナムコゲームスが中心に展開する、『アイドルマスター』のマルチメディア展開。現在までアニメ、ラジオ、小説、漫画、キャラクターソングCDの発売など、オフィシャルだけでも多面的で活発な動きを見せています。またアイマスMADの冒頭にもしばしばこのロゴ(Project iM@S)が使用され、ユーザーの側からもこのマルチメディア展開をフォローアップしていこうという機運の高さがうかがわれます。理想的なメーカー/ユーザー間のインタラクティブ関係の一つかもしれません(とは言うものの、著作権問題ではメーカー及び関係各所に迷惑をかけっぱなしなわけですが・・・詳細は後述)。
【MASTER ARTIST、MA】
Project iDOLM@STERの公式メディアミックス戦略の一環として発売されている、キャラクターソング集CDの名称。01の天海春香から11のFINALE音無小鳥(ご指摘ありがとうございます)まで計11枚の発売が予定されており、各アイドルを担当した声優による多数の新録及びカバー曲を収録。使い勝手が良いためしばしばアイマスMADの音源としても使用され、他キャラの歌う同曲同士を掛け合わした合唱や、ノイズキャンセリングの要領でボイスのみを取り出してアカペラ作品を作ってしまう人もいるなど大人気。なお天海春香のCDは売れ行きが他のアイドルに比べて思わしくないため、購入が強く推奨されます。やよいとか千早とか、放っておいても売れます。THE IDOLM@STER MASTER ARTIST 01 天海春香
- アーティスト: 中村繪里子(天海春香)
- 出版社/メーカー: Columbia Music Entertainment,inc.( C)(M)
- 発売日: 2007/07/18
- メディア: CD
- 購入: 5人 クリック: 673回
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B)アイマスMADの種別
便宜上区分していますが、実際はそれぞれの要素が強い/弱いといった意味を持つ程度に過ぎません。
厳密にこれらを区別することはできませんが、説明の簡明化を主眼に、性格的に大分してみました。
全て僕はじめてのCの主観による区分であり、確定的なものでないことだけは再度主張しておきます。
(「選曲」に関してのみ、ある程度厳密な区別が可能ですが)
【内容】
1)PV風
プロモーション・ビデオ風の動画。あくまでアイドルが主体であり、曲とダンスのハーモナイズを素直に楽しむ、一種の環境ビデオとも言えるかもしれません。『アイドルマスター』から借用されたダンスシーンが前面に押し出され、特に考える必要もなく「歌って踊るアイドル」の姿を楽しむことができます。予備知識がほぼ不必要なため、ここからアイマスMADの世界に入る人は多いのではないでしょうか。実際にニコニコ動画上では圧倒的な視聴数(数十万!)を誇っている作品が多くみられるジャンルです。検索で上位に来るものの大部分と考えて良いでしょう。2)歌劇風
登場するアイドルと曲の主題から、ストーリーを読み取る物語形式。キャラクターの背景、すなわちオフィシャル設定やゲームのストーリー展開、そしてニコニコ動画を中心としたコミュニティが各アイドル達に与えてきたイメージ・・・などを踏み台とした、彼女たちと歌とが織りなす様々なショート・ストーリー。ゲームに果てはあっても、物語は今も続いているのです。性格的に圧倒的な視聴数を稼ぐことには向いていませんが、ファンの気持ちをくすぐり、時にキャラクターの性格をフォロー/変化させ、新たなムーブメントのきっかけにもなるなど、大きな影響と衝撃を与えることが可能です。反面、アイマスMADの予備知識を持たない視聴者に対しての訴求力は低くなりがち。
【選曲】
1)原曲、及びMaster Artist等公式展開曲の使用
アイドルの魅力を最大限に発揮する選曲、衣装、舞台、カメラワークなどが動員される、Pのセンスの全てを投入した総力戦です。何人Pがいようとも使用できる曲数は限られている(選曲が競合すれば比較される)上、耳慣れた曲だけあって衝撃性が薄く、ニコニコ動画で華々しい成功を収めるためにはアウトスタンディングな実力が要求されます。しかし、声優により歌われている各曲は動画やキャラクターとの親和性が極めて高く、成功すれば地味ながらソツのない一級品として、長らく愛し続けられることでしょう。2)作品外の一般曲の使用
Pごとのイマジネーションで各アイドルにフィットしそうな曲、単純にノリの良い曲、好きな曲、ウケをねらえる曲と、自由に選択が可能なオプションです。アニソンから洋楽、果ては初音ミクでの自作曲に至るまで、あらゆるジャンルに跨りバラエティ豊富。他のPと選曲がかち合う確率が極めて低く、また自由度が極めて高いため、人気があります。ただし当然ながら、歌手の大半は声優ではないため、アニメアニメしたアイドルマスターキャラたちとの親和性は必ずしも高くないこと(動画と声の乖離)、そして何よりも、無断での楽曲使用による著作権侵害が大きな問題となります。
【演出】
1)シンクロ重視
ゲームで使用されるアイドル達の振り付けやステップと音楽の間のシンクロを極限まで高めることで、ステージのダイナミズムや一体性を強調する作品です。アイマスMADで使用可能な曲目が全世界のありとあらゆるものに及ぶのに対し、振り付けは(基本的に)ゲームからの借用に頼る他ないため、本来限られた曲数、すなわち限られたパターンしかないダンス/振り付けを、いかに使用曲にマッチさせるかが重要になります。一つのMAD製作のために、ゲームの様々な曲からダンスシーンを切り貼りする作業が一般的で、組み合わせセンスが全ての鍵です。そろそろパターンが枯渇し始めている気配があること、及び3拍子の曲等へのマッチングが厄介なことなどから、『アイドルマスター』続編の発売が強く期待されるところでもあります。
2)演出重視
動画に対し画面演出を大きく加えることで、ダンスや歌により迫力を与える作品。いわゆる画面効果だけではなく、背景を自主的に製作してみたり、またゲームシーン/音声などを挿入し、MADのストーリー性を高めることなども頻繁に行われます。高度な技巧が凝らされた作品は視聴者に圧倒的な衝撃をもたらし、数々の「伝説的な作品」と呼ばれるものを生み出してきました。前述のダンスシーンの平凡性をカバーし、同一シーンに新たな視点を与えてくれるなど、これからもその可能性と価値は大きなものがあります。弱点としてはバランス感覚が重要であり、際限のない多用は単にクドいだけでなく、「手作り感」を増すばかりになるなど、MADの弱点を露見させる原因となることかもしれません。
C)Tips
アイマスMADへと足を踏み入れたい、あるいは少々情報収集くらいしてみてもよいかなと思う人を対象に
比較的すぐに役に立ちそうな、具体的な情報を掲載してみました。
1)アイマスMAD世界への駆け足
ニコニコ動画上で毎週週末付近に発表されている「週刊アイドルマスターランキング」を視聴すれば、現在の人気作品や作品動向を知ることができます。気に入った作品があれば、ランキング動画ページ紹介文付近でリンクの貼られている「マイリスト」から直接アクセスすることができます。
また検索窓に「アイドルマスター」と打ち込み、さらに再生回数の多い作品順に並べ替えることで、これまで発表されたアイマスMADの人気作品を一望することが可能です。再生回数での検索では、基本的に上位に来ている作品は敷居の低いものが多いため、容易に気に入る作品を見つけることができるのではないでしょうか。
2)ニコニコ動画登録とプレミアムサービス
ニコニコ動画はYoutubeに似た、ユーザー同士が投稿した動画を自由に鑑賞できるネット上のサービスです。Youtubeと異なり、視聴には登録が必要ですが、登録者の数が膨大なため、現在登録から視聴可能になるまでの待ち時間が二ヶ月前後に及ぶという状況です。しかし、月額525円のプレミアムサービスを申し込むことで即座の視聴が可能になるばかりでなく、1)サーバ混雑時の読み込みが回避 2)サーバ混雑時の画質低下を回避 といったアイマスMAD視聴上無視できないメリットを受けられます。もちろん、他の動画を見る際も非常に重宝する優遇措置であり、年間6000円の価値は十分にあるものだと個人的には確信しています。
3)アイマスMADと著作権
アイマスMADは「ゲーム『アイドルマスター』からダンスシーンや楽曲を借用する」というその性格上、本質的にバンダイナムコゲームスの著作権を侵害しているジャンルだと言えます。現在までのところ、バンダイナムコゲームスの方針としては「自社関係の動画/楽曲の借用は基本的に黙認、MAからの楽曲の引用も未加工・フルバージョンでない限り許容」というものであるかのように見受けられますが、公式見解ではありません。また、他の一般曲や動画の使用は基本的にまず権利者に許容されない行為であることも確かでしょう。繰り返しになりますが(そして、僕が言うのもなんですが)、アイマスMADは本質的に甘えの構造を持つ、お目こぼしを前提とした、やくざなジャンルなのです。最低限の筋は通し、可能な限り著作権者への恩返しを行いたいものです!
4)アイマスMAD関連サイト情報
あまり詳しくないため、思いついたサイト様を順不同で紹介するにとどめます。
「ここは必要だろう」というご指摘があれば、よろしくお願いします。
http://www.idolmaster.jp/ バンダイナムコゲームス 公式アイドルマスターホームページ
言わずと知れた、公式サイト。
http://www.nicovideo.jp/ ニコニコ動画
毎日ニコニコ、毎日楽しい。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1056732 アイマスとニコ動の軌跡その1
アイマスMADの変遷をたどる動画
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1057038 アイマスとニコ動の軌跡その2
本リンクではありませんが、「ニコニコ削除戦争の歴史 第一部」も参考になります。
http://d.hatena.ne.jp/hunirakunira/ 空から降ってくるので
タイムリーなアイマスMAD視聴情報を、豊富な他サイトリンクと共に紹介しているサイト。
http://nicovideo.g.hatena.ne.jp/ch1248/ 花見川@ニコニコ部
アイマスMAD情報を掘り下げたトーンで記述。
http://d.hatena.ne.jp/sikii_j/ 敷居の先住民
アイマス界隈とニコニコ動画の兼ね合いを重視した情報。ニコニコ動画のマイリストも公開中。
http://d.hatena.ne.jp/hajic/20070925/p1 アイドルマスターキャラクター紹介
当サイト内過去記事。初心者視点からMAD界隈のアイドルを紹介しています。
http://d.hatena.ne.jp/hajic/20071014/p2 アキリツ大百科の紹介
当サイト内過去記事。キャラクター及びアイマスMAD界隈のネタの紹介をしています。
総括 「喜びの創作」キャンペーン(アジ)
現在、最も自由な創作ツールである『初音ミク』に、理不尽にも浴びせられた先制弾。マスメディアはなぜ、彼女を狙い撃ちにしなければならなかったのか。それは彼女が著作権問題から最も遠く、かつ永続的に自足的な楽しみを生み出すことが可能なシステムのコアと見なされたからである。国民への最大の影響力を背景に、政治の行方さえ容易く支配するようになった大手マスメディアは、だからこそ「自足的な楽しみ」の存在を容認できない。楽しみは常に彼らによって与えられなければならず、そのために人々は常にTVに齧り付き、彼らのプログラムを見ていなければならない——PCにではなく。
事実の曲解はもちろん、記事の捏造をも厭わず、誰かを貶めるために総力を尽くすマスメディアは、今や「悪意の創作」の権化となった。人を傷つけ、笑いものにし、倒れた人を踏みにじる、そんな快感を垂れ流すことで、彼らはその影響力をますます強めている。だからこそ、彼らは自足的な楽しみを憎む。それは誰を傷つけるでもなく、誰に求められるでもなく、一人一人が自足的に楽しめる手段。ただ自分が作りたいから作る。うまく出来れば嬉しい。もし皆に受け入れて貰えたら、もっと嬉しい。ネット上で徐々に強まりつつあるこの動きを、「喜びの創作」と呼びたい。
1)本記事の眼目:コミュニティ内部からの発話
本記事は近頃各所の紙面を騒がせ始めた「日本のネット・ユーザーコミュニティ」*4を意識して、例えばニコニコ動画、そしてその中のアイマスMADコミュニティ層をさらに厚くすることを願って作成されました。もちろん、依然続く一般社会の無理解に対し、いつまでも受け身でぼやいていてもつまらないという思いもあります。
折しもTBSによる『初音ミク』、その販売元及びユーザーを笑いものにするかのような報道*5がなされたばかりですが、圧倒的な影響力と悪意を持つマス・メディアに対し、新興のネットコミュニティは未だあまりにマイナーで、脆弱です。それでも、一人一人が小さな活動を積み重ねて行くなら、いつかこの世界にも暖かな陽の当たる時代が来るのではないでしょうか。
2)裏テーマ:戦端は開かれた
図らずも先日の一件は、前線がどこで、誰が敵なのかを明確に示した事件だったと思います。お金を動かし、人を動かし、世間を動かす彼らにとって、ネットで起こっている新しい企ての全てを「滑稽で不気味で危険なオタクたちの趣味」と決めつけることは容易でしょう。だからこそ今、それぞれのムーブメントは、自分たちが一体何をしているのかについて、明確な意志で周囲にアピールしていかなければならないのではないでしょうか。
気がつけば僕たちは、現メディアと新メディアの対立の最前線にいるのです。激動する世界の中で日本に鎖国することが叶わないように、恐らく各ネットコミュニティにも身内に引きこもることは許されないでしょう。戦争の手段が言論である以上、手の空いた人がスポークスマンになることは不可欠であり、そんな一人として、趣味の手仕事であるが故の「全て喜びのための創作」ジャンルが持つ楽しさ、その可能性を、少しでも多くの人に伝えられれば幸いです。
(それこそ、今や”悪意の創作”の権化となった、マス・メディアの最も恐れることでしょうから)
3)謝辞:Viva Project iM@S
最後になりましたが、この記事の作成に際し、多くのblogから情報や画像を、多くのMAD制作者の方々の動画から画像を引用させていただきました。ありがとうございます。また、それら動画に発表の場を提供してくれているニコニコ動画に、そして何よりも、このような素晴らしいキャラクターたちに命を吹き込み、数多の物語の核、創作の舞台を提供してくれたバンダイナムコゲームスに、心からの感謝を捧げたいと思います。
・・・それは例えば『ニコニコ動画』であり、『初音ミク』であり、『アイマスMAD』であって、辛うじてマスメディア支配力の外に存在する。故に彼らはこれからも、その影響力を生かし、卑劣で悪意に満ちた報道を繰り返すに違いない。かつて彼らが2chを悪の巣窟に仕立て上げたように、ニコニコ動画を違法アップロードの巣窟と決めつけるために。「悪意の創作」が生み出しうるものが悪意のみである以上——人がもし悪意よりも喜びを好むと信じるならば——最終的に「喜びの創作」が勝利をおさめるとしても、今、各コミュニティには自らを明らかにしていく努力が要求される。
なぜなら、その悪意は必ず「何かよく分からない不気味な連中」としてのコミュニティ自体へと向けられるはずであり(マスメディアはすでに「オタク」という言葉の色づけを十分に成功させている)、それを防ぐためには絶対に「何かよく分からない不気味な連中」に留まってはならない。何をしているのか、その楽しみ方はどういうものなのか、ちょっとしたことでも良い、外部にアピールすること。その努力の積み重ねのみが勝利を、すなわち「犯罪者:オタクの生産物」という悪意から、この新しい喜びとその環境を守るための唯一の道筋になるだろう。
*1:http://d.hatena.ne.jp/hajic/20070925/p1 アイドルマスターキャラクター紹介。初心者視点からMAD界隈のアイドルについて。
*2:http://d.hatena.ne.jp/hajic/20071014/p2 アキリツ大百科の紹介。キャラクター及びアイマスMAD界隈のネタを軽く説明。
*3:http://d.hatena.ne.jp/hajic/20071003/p5 春香動画に見る「技術とコンテンツの融合」と「層の厚いユーザー・コミュニティ」参照