ミクに思う

初音ミクハジメテノオト 【3D PV】

http://www.nicovideo.jp/watch/sm1728993
今日一日だけで13万HIT以上を叩き出し、まだカウントを回している初音ミクPVシリーズのレイテストヒット。良い作品ですね。ミクの持つどこかセンチメンタルで透明な雰囲気を生かした曲が美麗な3Dグラフィックで構成されたネギ畑の上に響き渡る。よく見ればWindowsのデフォルトデスクトップ背景だったりして。単なるナルシスティックな憂愁に留まらず、いかにもなニコニコテイストが溢れている。文句なし、傑作です。

だからこそ、この動画を見たとき、僕は正直悔しさを感じました。彼女の生みの親が、彼女がニコニコで育つことについて明確に言及していることに。クリプトン社は今やニコニコの歴史を変えた企業と呼ばれるべきでしょう。彼らの「二次創作を前提に」という発言は、新しいエンタテイメントとしてのニコニコ動画におけるデファクトスタンダードであった初音ミクを、まさにスタンダードな存在に据えました。

今や、初音ミクのユーザーは心おきなく彼女に歌わせることができる。もちろん制限は有るとはいえ、どこまでもMADであるアイマスMADに比べて、その社会的な立場は比べものにならない。この事実は、なによりも、初音ミクの使い手のアイデンティティに、大きな自負と自信を与えていることでしょう。クリエイターであることを公言できる素晴らしさ。初音ミクは今、光の当たるところにいる。だから彼女はこんなに嬉しそうに歌う。けれどMADは。

どんなに素晴らしいものを作っても、「所詮犯罪予備軍」と言われる可能性を残していることが、どれほど陰湿で無惨な結果を生み出し得るかについては、つい先日アイマスMADの世界で証明されました。アイマスMAD界に偉大な貢献をしてきた人々の、いや、尊敬すべき人々の名声が泥に塗れるのを指をくわえて見ていなければならない悔しさは、今後も忘れることはないでしょう。
いつまで影の世界にいなければいけないのでしょう。いつまで犯罪者と呼ばれなければいけないのでしょう。いったい、ミクとアイマスの何が違うのでしょう。一つの言葉、それさえあれば世界は変わるのに。ただ一つの許しがあれば、ささやかな記憶が変わるのに。無償だとは言いません。もちろん相応の対価を支払います。少なくとも、そのために努力はします。だから、どうか、その道をください。