マリア十五玄義図

http://www.sankei.co.jp/news/060131/bun055.htm


京大博物館で26日まで、どこだったかの旧家の天井裏から竹筒に入って出て来たマリア十五玄義(げんぎ)図を展示中だそうです。マリア十五玄義といえば何かというとマリアさまの身に起こった出来事のあらすじ15選、といったところ。「お告げ」から始まって「天の元后」まで順を追って続きます。ついでに言うと先のヨハネパウロ2世があと5玄義付け加えたので今では合わせて20玄義、70年代の改定により玄義は奥義(おくぎ)と呼び名が変わりましたので正確には20奥義ですが、ともあれ何百年か前に書かれたこの図の時代は十五玄義でした。


図柄を見ると中央上段に見下ろす形で聖母子像、下段に見上げる形で左から聖マチアス、聖イグナチオ・ロヨラ聖フランシスコ・ザビエル、聖ルチアの四人の聖人。上下段の狭間の帯には「聖体は賛美されますように」とポルトガル語での説明が入っていますから、絵描きさんはポルトガル人だったのでしょうか。それにしてもイエズス会が日本宣教の中心だったことを考えるとロヨラとザビエルの両氏は分かりますが、マチアスさんとルチアさんは何故参加しているのでしょう。不思議です。


加えて、中央の上下の絵を取りまく十五玄義の漫画(こう言ってしまって構わないでしょう!)の、最後の方は少し楽しい具合。と言うのも第十四玄義は「マリアの被昇天」、すなわち死んだマリアが天にあげられる。続く第十五玄義は「天の元后、マリア」、そして天に上げられたマリアは戴冠し天の后となる、という二つの場面なのですが、この図の絵を見てみるとマリアさまはなんと言うこと、十四玄義「被昇天」の時点で戴冠しちゃっているのです。そのために十五玄義「元后」のシーンは、見方によれば「冠を取り上げられる」シーンにも見えなくもなく。信徒達はどう思っていたのでしょうか。


…などという感想が、京大博物館前に置いてあった立て看から発生しました。まさか月曜のみならず火曜まで休館するとは。なんたる幸せな職場。本日改めて訪問しようと思っています。