ライブにいけないひがみ

 ミリオン組のライブがやってるらしい。出面の持ち歌を聴いてるとやっぱり楽しくてワクワクする。携帯ゲーム戦線では課金について行けず、ライブ戦線では東京まで出かける気力がわかず、ぼちぼちとCDだけ追いかけてる僕としてはなんとも取り残された感。

 美希のrelationsマスターバージョンっていうのがあって、美希がウォーウォーウォーって遠吠えするんだけどすごかったんだよね。自分はここが最高点ってのを知ってたみたいにね。

 若くて実力があって努力もしてて、バックアップもされてて、すごい輝いてた。間違いなく主役だった。なのにこないだ届いたミリオンのCDで、あの美希の新曲はなんど聞いても「これ誰の、なんの曲だっけ」ってなってつらい。あの美希なのに。

 シンデレラアニメが時計を進めていくアニメなのが僕の心情にすごくフィットしてておもしろい。シンデレラの12時は魔法の解ける時間で、つまりはタイムリミットだ。そこに向けて、毎週毎週針を進めていく人気アニメというのはなかなか冒険じゃないか。

 つまり綺麗で才能があって努力もしてて、若い女の子たちを多数抱えた人気のアイドルグループのアニメで、タイムリミットにむけて時計が進むなんて。


        ☆        ☆        ☆


 わたしは、もうひとりの力づよい天使が、雲に包まれて天から降ってくるのを見た。頭には虹をいただき、顔は太陽のようで、足は火の柱のようであり、手にはひらかれた小さな巻物をもっていた。そして、右足で海を、左足で地を踏まえて、獅子がほえるような大声でさけんだ。天使がさけんだとき、七つの雷がそれぞれの声で語った。七つの雷が語ったとき、わたしはそれを書きとめようとした。すると、天から声があって、「七つの雷が語ったことは秘めておけ。それを書きとめるな。」というのが聞こえた。すると、海と地の上に立つのをわたしが見たあの天使が、右手を天にあげ、天とそのなかにあるもの、地とそのなかにあるもの、海とそのなかにあるものをつくり、世々かぎりなく生きておられるかたにかけて誓った。「もう時がない。」


 読みおわったとき、トムの頭のなかには、雲と虹と火と雷と——それらのものをみんないいっしょくたにしたおごそかなものがうずまいて、くらくらした。——おそらく、ずっとむかし、あの時計盤の絵を描いた、名まえの知られていない画家の頭もくらくらしたにちがいない。
 トムは、なにがなんだかさっぱりわからなかった。そこで、そういった。
 「たしかにむずかしいわ。」と、ハティもあいづちをうった。「これがどういう意味だか、ほんとうにわかる人はいないんじゃないかしら。黙示録のなかには、天使だとか、けだものだとか、ふしぎなことばなんかがいっぱい出てくるのよ。みんな、こんなふうだわ。」


        ☆        ☆        ☆


 「だけど、いちばんおしまいの『もう時がない』っていうのは、どういうことだろ? ぼくは、どうしてもわからなくちゃ。ここは大事なとこなんだ。——このことばが大時計のふりこに書かれていたし、天使はこのことばを誓ったんだ。『もう時がない』って。天使はいったい、なにをいうつもりだったんだろう?」


トムは真夜中の庭で (岩波少年文庫 (041))

トムは真夜中の庭で (岩波少年文庫 (041))