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「モデナには最近バイパスができて、道がわかりにくいったらありゃしない」と言いながら運転するコッラードの父パオロはほぼペーパードライバー。
会話を始めると信号を見落とし、一人で高速に乗ると目を開けたまま意識がどこかへでかける危険運転者である。
びくびくしながらも無事スッザーラについてやれやれ、いろいろあった日だった。
昼前に起きたらコッラードの兄ダニエレの子供キアラが遊びに来ていた。「死ぬほど退屈」と言いながら夏休みの宿題ドリルをピエトロに教わっている。
それにもすぐに飽きて彼女はクロスワードパズルをはじめ、一方僕とピエトロは市民プールへ出かけた。
自転車で10分ほどの生協向かいにあるそこそこの設備。二つの滑り台でせいぜいすっきりしたあと、クロール勢にまけじとせっせと平泳ぎを行い、変なアジア人ぶりを見せ付ける。
夕方帰宅するとダニエレがいたので二人で広場に出かけてビールを飲む。「市民的行為をしようぜ」というから何かと思えば市内散策だった。
ガリバルディ広場からカステッロ広場に抜け、どうして城もないのにカステッロ(城)なんていうのかと聞いたところ、どうやらかつてナポレオン軍が攻めあがってきた時、勇敢にも抵抗したスッザーラ領主はコテンパンに負けて城はさっぱり破壊されたのだという。
ほら、これがただひとつのこった鐘楼、と指し示す先には確かに年代ものの時計塔が立っていた。
夜はなぜかウクライナ人留学生が二人やってきて、日本の原発問題について語り合う。ローゴミルとミハエル。ローゴミル。あだ名はローゴ。ぐだぐだな一日。