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ファビオとオーラをミラノ中央駅まで見送ったあと、スーパーで食材を買い込む。すっからかんの冷蔵庫に食材をどんどん押し込みながら「やっと何を食べるか選べるようになった」とジョルジョは満足げである。

昼食はツナと大豆のサラダにイワシとトマトのパスタ。またペローニを飲む。ペローニは安くておいしい。どうにか輸入できないものかと思う。
夕方お給料を貰いに行くジョルジョにつき合って彼の元職場レストラン・オッティモへ。本日は彼の誕生日なので食前酒が振る舞われるのだそうな。曰く「でもあいつはトンチキ野郎だからプレゼントは持って行かない。給料を貰って、ただ酒だけ飲む」。
首尾良く水がたっぷり入ったモイートとメナブレアビールを飲みブレシアの養殖キャビアにもありついたものの、お給料はもらえなかったらしい。どうやらオーナーのミケーレはわりとジョルジョを気に入っていて、給料にかこつけて次の仕事の話をしたかったようで、後日もう少し早い時間に出直してくれという。ジョルジョは帰り道「あいつは実にトンチキ野郎だ、うんこの切れはしだ」と散々わめいた。
夜は例のナポリ人ヴィンチェンツォと連れだってビールバーへ行く。ミラノ中の南部人が集まったかのような南部人だらけのバールで飛び交う言葉はとても文字に起こせないような内容である。
なんか妙に苦いビールを五六杯のんでワーワー喋っているうちにわけがわからなくなり、どう見てもイタリア人なのに「僕は安藤です」という男がやって来たのでよくよく聞いてみるとフェルナンドだったり、蚊に噛まれた八つ当たりでヴィンチェンツォの頬をひっぱたいてみたり、楽しいけど明日は休肝日にしようとこっそり心に決めた。