ターミネーターとわたしたち

ニューヨーク・サンは4月27日、「オキナワと私たち」と題した社説を掲載し、イラクで頻発する自爆攻撃を第2次大戦中の沖縄海戦で旧日本軍が米戦艦に向けて行った「特別攻撃」にたとえながら、「怖じ気づいてはいけない」と米国の戦意を鼓舞してイラク戦争の完遂を訴えた。

同紙は、最近掲載した別の社説についてニューヨーク郡の名物地方検事ロバート・モーゲンソー氏から励ましの電話があったと前置きし、戦艦乗組員だった同氏が「沖縄で1900機のカミカゼ特攻隊が攻めてきた」と述懐しながら「忘れられないのは、規模だけでなくその過激さだった」と語ったことを紹介した。

同紙はさらに、モーゲンソー氏が参考資料として送ってきた歴史家ロナルド・スペクター氏の著書も紹介。「特攻機によって米国の戦艦57隻が沈められ、100隻以上が戦闘不能となったほか、300隻以上が損傷した」「米海軍兵の死者、負傷者はそれぞれ5000人に上った」「特攻機の命中率は32%に上り、米国側の被害規模は真珠湾攻撃より約30%大きかった」といった数字を列挙した。
 スペクター氏の著書は、「『神風特攻隊』を編成した大西(瀧治郎)海軍中将ら日本の戦争指導者は、物量で勝る連合軍を震え上がらせようと精神戦を挑んできた」と背景を説明し、「にもかかわらず連合軍は沖縄占領とそれに続く本土上陸作戦を決して変更しなかった」と記している。

その上で同紙は、「日本人は皆イラクの自爆攻撃者よりも過激で熱狂的だったが、われわれは最終的に勝利を収め、民主化後の日本と平和的な関係を結んで寿司や俳句、トヨタ車、ソニープレイステーションを楽しんでいる」と結んだ。
http://www.usfl.com/Daily/News/07/04/0430_016.asp?id=53395

アメリカ人がこの種の考え方をやめない限り、いや、むしろ、この種のおごりを公然と口にする姿勢のおかしさに気がつかない限り、彼らは世界の悪の大ボスであり続けるでしょう。これに追随とは言わぬまでも、はっきり物申さない以上、確かに今の日本は、北朝鮮の主張するように、悪の国なのかもしれません。

ただ、それでもアメリカは60年前と同じではない。日本が大きく変わったように、彼らも大きく変わったはず。かつては血で血を洗うしか方法がなかったかもしれないけれど、今はまた別の方法があると思う。敵は手強い。恐るべき頭脳と物量、何よりも正義の存在への絶対的な確信を持っている。

それでも、いつかは日本はアメリカと対峙しなければならないと思います。たぶん、それができるのは、日本だけでしょう。西洋文明の生んだ、最悪で最高の、けれど愛すべきターミネーター。正面からぶつかってダメなのは当然、実際歴史がそれを証明している。でも何か、なにか方法があるはずだ、そう思いたい今日この頃です。