しっかり学ぶイタリア語―文法と練習問題

(知識ゼロからの学習者として僕があたった限りでは)
本書は最も優れたイタリア語会話入門書だと思う。
しっかり学ぶイタリア語―文法と練習問題 (CD book―Basic language learning series)


遠過去はともかく大過去程度の要件の解説の欠落は痛い。が、実際の話、初心者レベルでイタリア語会話ができないのは、例えば大過去が使えないからではなく、絶対的な「会話経験の不足」と「初期レベル文法整理・単語学習の不徹底」に起因する。
そして結局のところ、前者は後者に由来するものに他ならないのだから、イタリア語入門者はイタリア語会話必須要件だけを、できる限り早期に、徹底的に身につける(そして、とにかく話す)ことが必要なのは明白。
その意味で本著の内容は実に良く絞り込まれている。

しっかり身につくイタリア語トレーニングブック (CD book―Basic language learning series)
↑『しっかり身につくイタリア語会話』。入江たまよ著なので信頼はできる。それなりに高度なレベルまでの解説もある。ただし中級以上でないと取っつきが悪い。付属CDの会話速度は若干平均より速いが現実にはほど遠い。

たとえ条件法や接続法、命令法の“複雑な用法”等、イタリアで本当の日常会話に飛び込むための重要な用法がごっそり本著から抜け落ちているとしても、それが本当に必要になる(必要性を実感する)頃には、イタリア語で書かれた問題集がなんとか役に立つ程度にはなっているだろう。
まずはそのレベルに辿り着かなければ、文字通りお話にならないのであって、それ以前にいくら遠過去の活用形を習ったところで、「いろいろボンヤリと学習したつもり」になるだけで全く会話の役には立たない(むしろ混乱するだけ有害)と断言できる。
ステマティックな言語は、まず基幹システムを理解しない限りモノにならない。

イタリア語で言ってみたい「この一言」 (<CD+テキスト>)
↑『イタリア語で言ってみたいこの一言』。何かと便利で面白い本だが、気の利いたひと言を差し挟むためにはまず連中の会話が聞き取れなければ話にならない。付属のCDの会話は遅すぎて練習にはならないので注意。

もし「自分は何が足りないから話せないのだろう(聞き取れないのだろう)」と言っている人がいるなら、本著に書かれていること、つまり最低限の基本文法さえきちんと把握していないからですよと教えてあげると良い。

この本だけではいかにも物足りなくなった時、その時こそ他の文法書や問題集に手を出す時。その頃、本書は最も愛着のある本の一冊になっているに違いない。

『しっかり学ぶイタリア語』。
入門者へはもちろん、初級から中級への橋渡しの意味でも、本書は実に上質の参考書である。