イタリア旅行

塔の上から

ボローニャ。雨がちの気候と、街路に連なるポルティコは、なかなか青い空を見せてくれない。街のカラーはグレーで、地中海の青ともイタリアの明るさとも無縁。これといった観光資源もなく、あのローマと張り合った頃の栄光もなく、いまでは何もかもが中途半端な、あやふやな街。イタリアを愛する多くの旅人たちに、そう言えばそんな街も通ったっけ、くらいに言われるだろう街。でも、そこにはかつて、間違いなく輝いていた頃が――大きな歴史と、そこに生きる人々のドラマがあった。いくつもの消え去った時代の名残が、そして消え行きつつある時の姿が今もなお漂う、そんな灰色の街角を抜けた先に、仲良く並んだ双子の塔が、ひっそり佇む街。そんなボローニャが、私は好きです。