2006-08-11から1日間の記事一覧

北村薫『夜の蝉』を読みながら。ページを繰るたびに感じる最大の感触は、この際白状してしまうと、ある種の悔しさである。ああ、本当に悔しいなあ。もちろん僕の専門は文学ではないけれど、それでもやっぱり悔しいものは悔しい。ひっくり返せばそれは我が身…

 『夜の蝉』

何が素晴らしいかと言って、世界につじつまが合っていくのだ。それも実に優しく。 僕は「優しく」という言葉を使った。しかし初めには「幸せに」と書いてみた。そして実のところ、そのどちらもが適切に僕の感情を表してはいない。むしろ優しくもなければ幸せ…