「月がきれい」について雑感

 
true tears』DVD7巻ふろくの西村純二監督のコメント、これ好きなんです。

true tears」は、少しわかりにくい作りになっているかもしれない。シナリオ、コンテ、さらにラッシュフィルムの段階でも物語と感情の説明として必要であると判断され挿入されていた多くのシーン、台詞を編集段階で削除した。さらにいくつかのシーンは時系列をいじった。当然その方が、フィルムとしての完成度が上がると判断したからだが、もう一つ、このフィルムを観てくれる方への謎解きへの参加を期待したからでもある。


 謎とはもちろん登場人物達の感情の事である。思春期の恋愛、友情そして幾ばくかの哲学的共感と反発を含んだそんな彼らの心の中を一緒に探検してほしいと思ったからだ。しかし、ならば観てくれる方に物語を理解してもらうために、そんな場面や台詞の代わりとなるべき推理の寄る辺となるべきものが必要になる。それは画面の雰囲気であり、キャラの微妙な表情の変化であり、かすかな音であり、重層的に作り込まれた台詞であるはずだ。

 謎とはもちろん登場人物たちの感情の事。月がきれいにもそっくり流用できる内容だと思います。主人公小太郎とヒロイン茜の気持ち然り、それぞれを取り巻く人間関係然り。true tearsと比較してプロットがより単純化された(てると思う、まだ序盤だけど)分、よりエッセンシャルにこの謎について取り組む作品になっているように感じます。それにしても「謎とはもちろん登場人物達の感情のことである」なーんて言っちゃう西村監督。なんたる文化系! 文化系っていいよね・・・。

 じゃなかった、冒頭地味すぎるのと新海さんっぽい絵柄でなんとなーくスルーされてる気配のある『月がきれい』、じわじわ来てるっぽいので今から追いかけようかなって思ってる人はぜひ。いや、僕もちゃんと見出したの4話からなんですよ。