新説シンフォニック=レインのフォルテールとは何か

 光画堂稀代の問題作、シンフォニックレインフォルテールについて、今さらながら考えてみた。魔力がないと演奏できないという以外全く詳細の不明な楽器である。外伝に依れば「風の魔導石を動力とする小型のピアノ風楽器」だというものの、シンフォニックレインフォルテールがそれらフォルテールと同様である保証はなく、また、そもそも風の魔導石というもの自体が正体不明であって、これでは説明にならない。実際的に考えてみよう。作中でフォルテールを演奏できるとされる人物は主人公、アーシノ、リセ、コーデル、そしてグラーヴェ。しかし、コーデルとグラーヴェは教員として登場するために実際フォルテールを演奏する姿は描かれておらず、リセも強制されたシーン以外での演奏を見せないため、実質作中でのフォルテール奏者は主人公とアーシノとなる。アーシノだって演奏しているシーンないじゃないかという突っ込みがあろうからいっそ彼も除外してしまおう。残るは主人公一人となる。しかも彼は人並み外れたフォルテール奏者だという。さて主人公は作中で何をしていたかと言うと、不都合な事実を隠蔽するために雨だの妖精だの世迷い言を吹聴していた。我々はそんな戯言にすっかり騙されていたわけだから、彼の嘘つき才能は実際人並み外れている。とすればフォルテールの真相はおおよそ明らかになるのではなかろうか。つまりフォルテールとは大型の巻き貝を素材として制作される、一種の吹奏楽器だと思われる。