『R.U.R.U.R』ヒロイン紹介

 数十億年前に太陽系を経った移民船から何らかの事故で乗員が絶えた。自律判断の必要性により自意識の制限を解かれたロボットたちは独自の世界を構築するが、船内に衝撃を走らせたのは一つだけ残った冷凍睡眠カプセルの発見。それから三年、最後の市民(man-kind)イチヒコは、まもなく二十歳の誕生日を迎える・・・

R.U.R.U.R ル・ル・ル・ル このこのために、せめてきれいな星空を 初回版

R.U.R.U.R ル・ル・ル・ル このこのために、せめてきれいな星空を 初回版

 久々に狂った物語に出会いました。とっても綺麗に壊れてます。ちょっとスティーブン・キングを彷彿とさせるかも。ヒロイン達は全員ロボットなので、僕らの常識とどこか致命的にずれていて、そこが妙に不気味でもあり、おかしくもあり。絵は可愛いし、EDテーマ『誓いの言葉』の美しさは必聴の出来。投げっぱなしジャーマン気味なプロットも、フランス映画風の感傷装置だと思えば悪くない。いや、いや、むしろ、褒め称えましょう。良き作品を。こころをこめて、こころから!

ヒナギク ISF-ISSAC-0010102F
 
 R-ヒナギク、通称ヒナ。ポップコーン大好き。公園で昼からモリモリ食べ歩いているところを見た主人公に「みっともない」と言われて以来暗い部屋で1人もぐもぐ食べるようになった。これはとても恥ずかしいことで、人間(man-kind)の言葉ではマスターベーションと呼ぶのだと信じている。後にポップコーンオナニーという新境地を切り開いた(マジ)。初回エッチシーンは実時間で1時間半くらい続く(マジ)。可愛い(マジ)。主人公の幼なじみという役割を与えられていて、ヒロイン中唯一とも言える、まだ普通のラブコメシナリオ担当。

シロツメグサ D-ISSG-0100118D
 
 R-シロツメグサ、通称シロ姉。正体は完全に化け物(マジ)。主人公をゲームソフト2本で釣って貞操を奪う(マジ)。右から左に絵を追うという作法が世界から失われた結果、理解がとっても難しく、とっても文化的になった視覚メディア(漫画)を読むのが趣味。不器用な性格もいじましい行動も可愛いのに主人公からの扱いが理不尽に酷く、八頭身モナー扱い。シナリオの邪悪さではヒロイン中随一を誇り、ヒナギクをぶち殺すための一撃と共に放たれた「ま○こみたいに穴あいて死ね」というセリフはエロゲ史の夜空を彩るきら星(6等星くらいの)。

ミズバショウ ISSAC-1011105L
 
 R-ミズバショウ。通称ミズ姉。最も狂ったヒロイン。立ち位置はカーチャン。二十歳になったら人間(man-kind)はいやらしいことをする権利があるのよなどと言いながら主人公の筆卸しをする。行動は全て主人公を甘やかすための指針に基づいており、徹頭徹尾役に立たない。精神的には幼児レベルである主人公に色々と狂ったアドバイスを吹き込み、時に薬品入り食品を与えてでも彼を庇護下に置こうと試みるがまったく悪意はない。作品の不謹慎さを代表するキャラクターで、たとえば、シナリオのおよそ70%がエッチシーン。

イチヒコ Man-Kind
 
 主人公。船内唯一の人間で市民(man-kind)。街や学校、家族、幼なじみ等々、彼を取り巻く世界はすべて彼のためにミズバショウが設えたもの。先日、ニューグリニッジ歴で二十歳の誕生日を迎えたが、地球歴では小中学生程度だと思われる。三年前に冷凍睡眠から回復する以前の記憶を失っているため、精神年齢は三歳児に近い。彼にとってセックスは単に成人としての社交の一つで、キスの方が重要度は圧倒的に高い(すごい皮肉)。ヒナギクを除く他の全てのヒロインに逆レイプされる。ただ1人の市民として圧倒的な権限を持つものの、それが生かされる機会はただ一度だけ。


R.U.R.U.R オリジナルサントラ

R.U.R.U.R オリジナルサントラ

 ヒナギクとの結末の素晴らしさに関しては、おそらく議論の余地はないでしょう。全ての解釈を吸い込むエピローグ、「夜間飛行」。猛烈な寂寞感をもたらすビッグ・クランチ。人間が一人もいなくなっても、星が一つ残らず消えさっても、宇宙を旅する宇宙船。「ふたりのり」のラストシーンは、それ自体何の意味もないけれど、最後に見事な均衡を見せてくれます。末永く、お幸せに。