Intimoを読む2 コルセット
「蜂にしか見えない」
これは1800年代にあらゆる女性の間で伝染した一種の狂気、すなわち「蜂のウェスト」の猛威についての、カルロ10世による証言である。1800年代から1900年代に跨る、快適さと圧迫という困難な関係のための改革により、コルセットは下着の中の下着となった。あるいはコルセットは下着の歴史の象徴物と言えるかもしれない。
1700年代のコルセットは、前から後ろまで当てられた添え木が、胸を押さえることなく繋ぎ合わされていた。肩紐あるいは袖が取り付けられており、腰を束縛することがないように先細りに前側に垂れる。内側にはざらざらしたキャンバス布のような低質の布が用いられる一方、外側はダマスコ織、琥珀織、刺繍や金銀のラメの入った絹布といった素材が用いられた。同世紀中にコルセットから添え木は減り、より軽いものになっていく。いわく腹部を押さえず、ウェストを細くし、そして当時の広告の言葉を借りるなら「しっかりした胸を包み、弱い胸を支え、それを柔らかくする」。
1800年代末、ウェストは信じられない程に締めつけられていた。腹部で湾曲した腰上丈のコルセットは、ウェストのラインに沿って縫い目があった。ホックあるいはリボンで引き締められ、(ちょうどトゥルーズ=ロートレックの1896年の絵のように)シャツの上に着用されることで、胸をしゃんと保持した。水牛の角や鯨のヒゲに代わって、鯨の様々な部位や針金が用いられるようになる。錆を防ぐために、針金はステンレスのものが用いられた。
1900年代の初め、フランス人の仕立屋Paul Poiretは、腹部がより自然な状態になるよう、コルセットの縫製を見直した。1800年代後半にはtournureと呼ばれる、腰に着けて臀部を強調する、馬の毛の入ったクッションが普及しており、次にPoufと呼ばれ、スカートの下に使用するキルティングがそれに取って代わった。1900年代初頭のコルセットは、このような場所ふさぎのアクセサリーの役割を果たしていた。つまり胸部を前に出し、腹部を押さえつけ、腰を曲げることで、人々が熱望していた”S”のラインを実現していた。それはトップモードの一つであり、季節ごとに変わった。新製品を仕立てるにあたり、コルセット職人は常に流行を把握していなければならなかった。ブラジャーの到来により、コルセットはガードルとガーターベルトの要素を持つものへと変化した。