名古屋の八秒

「いや〜ん」 iPodを聞きながら自転車に乗るその女の子は僕とすれ違いざまにそう呟いて赤信号に変わったばかりの交差点に突っ込んだ。大阪ならなんでやねんとでも言うところがさすがは名古屋である。いや〜んであるか。思わず振り返り呆然とする僕の視線の先を彼女は薄手のスカートをひらひらさせながらせっせとペダルをこぎこぎ、高架の向こうのエイデンビルの陰へ消えてしまった。名古屋は大都会でした。