法王のこだわり

ローマ法王ベネディクト16世が9日、世界最大のカトリック信者を抱えるブラジルを訪れた。(中略)法王は到着直後、ブラジルのルラ大統領が合法化の検討を示唆した中絶を否定した。
キリスト教の価値観が保たれている中南米で、受胎の瞬間から自然に息を引き取るまで、人間の生命がより尊重されるようにしたい。それが人々の連帯の軸だ」
http://www.asahi.com/international/update/0510/TKY200705100071.html

カトリックの言い分はこう。

「(中出ししないことは)聖書に反する*1のはもちろん、性交したからと言ってかならず子供ができるわけではないのだから、これは明らかに神の意志に左右される事象であり、避妊という形で人の意志を介入させるのは全く罰当たりである。同様の理由で、例えレイプされた場合でも堕胎は避けられるべきだ」*2

個人的な意見を言うと、カトリックの教義は基本的に無理難題を並べて、ほーらできないでしょう?人間ってダメだよね、罪深いよね、さあconfessionにお出で、アーメン、という仕組みになっていると思うので、教皇さまにはこれくらい無茶なことを言ってもらいたい気はします*3

ところでバチカンカトリック司教座の日本主張所とも言えるカトリック中央協議会(リンク)は、「PAPAは日本語では“法王”ではなく“教皇”と表記して欲しい」と主張しているものの、新聞各社は一向に改める気配がありません。もし知らないのなら勉強不足、わざとやっているのであれば理由を聞いてみたいものです。

*1:旧約聖書中、オナンという男性が死亡した兄弟の寡婦と性交するのを嫌がり、自慰行為で済ましていたらきっちり神罰があたったという描写がある。ちなみにオナニーの語源。

*2:詳細は『カトリック教会のカテキズム(CATECHISMUS CATHOLICAE ECCLESIAE)第3編第2部「神の十戒」第2章第4項〜第10項』を参照のこと。ちなみに最新の公教要理の日本語バージョンはゆとり教育が過ぎて趣が全くないのでがっかりです。

*3:とは言うものの、実際こんな現実からかけ離れた発言を世界15億人の信者の前で行えば大問題になるのは当然で、おいおいと頭を抱える信者も多い。あるイタリア人の友人は「前の教皇様は世界に平和を与えようとした、でも今度の教皇様はその逆だ、全くドイツ人め」とぼやく。