宇宙世紀遠く

それにしても、片方は趣味で好き放題したあげく片手に女性を抱いて退場、片方はさんざん足掻いたあげく全てを失って退場。なんと嫌なコントラスト。
いやむしろ、考えてみればもう『Vガンダム』の登場人物で幸せになれた人間の方が少ない。敵将校なんてどいつもこいつもトラウマ気味の中年連中ばっかりだし、味方は爺さんか子供ばかり。飛んできた女性部隊員はその名の通り次々と生け贄になり、彼女らを血祭りに上げた本人と来たら主人公を刺殺し損なう。
誰だったかが「Vの世界にはいい男が抜けている」とレビューをしていましたが、実にその通りでしょう。なんたるマッチョイズム。表面的にはザンスカールのマリア主義を持ち上げておきながら、冨野監督の言わんとするところは違ったようです。
かくして、かつてシンパシーの光の煌めいた宇宙世紀黒歴史に飲み込まれ、全てが冗談になりました。