KANON』。考えれば考えるほど偉大な作品である。何って、まずタイトルがとんでもない。辞書を調べた人なら誰でもウヘーと思った経験があるのではなかろうか。あらゆる意味で体を表す名前だ。視点を引いて『KANON』がその後の作品に与えた影響を知ると、この驚きは一層である。テクニックはもちろん、その提起した問題について少なくない数の作品群が影響を受けている。驚くべきは、そこへと幾度か返答が返されることで、『KANON』という作品が作品自体の境界を超えて(ある主題を等しく持つ)一連の作品群の起源となっていくことだろう。そして、そうやって生まれた大きな物語の中においてもまた、それは基準であり、形式であり、そして正典なのである。呆れるほかない。実際こんなのがエロゲの中に発生するのだからおたく文化というのは恐ろしい。わけがわからない。本当になんなんだと思う。エロゲなのになあ。変だなあ。