ARIAの続き

ARIA 2 (BLADE COMICS)

引き続きARIAを読む。うーむこのそこはかとない胡散臭さ、違和感の正体は何だろう何だろうと思っていましたが、綿密な調査と思いつきによりそれは何と主人公であるところの灯里(あかり)さんであることが判明。こ、こいつ人じゃねえ。本当に人造人間なのは彼女かもしれませんぞ。というか泣かないでしょうこの子は。泣かない女の子は信用できませんよ。ひぃ

冗談はともかく、彼女からは人格が、というよりも裏面が全く感じられません。人間である以上誰でも語っていることとその本質には多かれ少なかれ常に齟齬があるわけなのですが、彼女の場合そこに全く乖離がない。彼女の語っていることは常にそのままの意味で私たちの前に現れ、ゆえに彼女という存在は私たちにとって本世界の前提=真実そのもの。

そのおかげで、彼女を通してあの世界を覗き込む私たちは、常に灯里フィルターによる絶対的な安定性を留保され、あの街で起こるすべての事象が予定調和のうちに留めおかれることを無意識の内に感じることで安心して世界をのんびり眺めることができるわけですが、それでは灯里というキャラクターの、キャラクターとしての存在の確かさはどうなってるのでしょう。

面白いことに、彼女はしばしば幻想世界に迷い込み、その中で「存在の危機」に直面することによって、自身の存在(つまりその不安定さ)をアピールします。彼女はAQUAのリアルにおいて自分の存在を確認する術を持たない。彼女はAQUAという絶対的な安定性そのものであり、だからこそ彼女だけが定期的にアンリアル、すなわち非AQUAに巻き込まれる、まさにその必要があるのです。