シンフォニック=レイン リセ編 待降節3

12/22 「フォルテールは、鍵盤を押せば音が出るような、他の楽器とは本質的に異なる」「魔力を込めて弾かなければ、まともな音すら出ないだろう」「フォルテールは、体で弾くのではない。心で弾くのだ。覚えておけ。反復練習を繰り返し、指が自然に動くようになるのは構わないが、今はその時ではない」「ゆえに諸君らには、常に新しい曲を弾いてもらうことにする。問題があれば、その都度私が指導する。弾ける曲が無くなった時点で、そのものの講義は終了する」「弾ける曲が少ないのは重々承知だ。記憶を有効に使い、少しでも有益な時間を過ごせるよう、努力したまえ」「なに、諸君らにはそれほどの期待はしていない。幼稚な曲でも、幼い子供が始めに覚える曲でも構わない。とにかく弾き続けることが重要だ」――「もちろん、心を込めてだ」

「これは、決して比喩的な意味ではない。曲に込められた意味を、各部分に込められた作曲者の意志を読み取り、正確に表現するように」



クリス、彼の正しさを全面的に認める。そしてまた同時に、彼に対しての不快感の存在も。”とはいえ、もう少し穏便な方法もあるはずだ” (…グラーヴェという人物は、何かの象徴なのではないか?) それでも ”僕は僕で、曲を弾き続けなければならない。なぜか、そんな気にさせられていた” エチュードを弾き始めるクリス。”とは言え、練習曲に、それほどの意志など込められているのだろうか? 作曲者の意図、意志はどこにあるのか…そんなことを思いながら、記号に織り込まれた意味を考え、意図された動きを再現する” 今、クリスが弾いているのは、練習曲。だが、そこにも意味があり、意図されたものがある。グラーヴェは重々しく、そう言う。


クリス、「遠く離れたアルへの想い」を乗せた曲を演奏する最中、ミスを犯す。ぎくしゃくし始めるクリスにグラーヴェの指摘。「間違えた箇所はどうでもいい」その後の問題――「感情を込めて弾けというのが、まだわからないのか」そして、「別れの曲か、恋人を想う曲だな」と見抜き(凄すぎる)「それはもう良い。これからは他人の曲を弾くように」…レパートリーの尽きたクリス、何となく嫌な予感を感じながらリセとの曲を演奏、「そうか。クリス・ヴェルティン。お前だったのか」「余計なことをするな。 この世界で生きていけなくなるぞ。意味はわかるな?」 クリス、追い出される。も、実は最後まで残っていたことが判明。感情を込めてフォルテールを弾き続けたクリス、精神が疲弊しきったと独白。ベッドに倒れ込む。長い一日だった。

12/23、心配そうなフォーニ。何度も起きないクリスを起こそうとしていた模様。半泣きだ。可愛い。コーデルからリセをパートナーに選ぶのかと問われる。彼の娘であることを知っていると告げるクリス。「そこまでわかっていて、なぜ」「意味はわかっているな?」私にはわからないのだけれど。「これは、恋人を想う曲か?」リセの様子から判断し、否定するクリス。しかし、リセの事を考えながら――曲に心を込めて――弾いた結果、コーデルはそれを「恋人を想う曲」だと感じた。自分はリセが好きなのだろうか。もっと言えば、アリエッタへの気持ちと同じレベルのそれなのだろうか? ”…だとしたら、それはあまり良いことではない。”悩むクリス。”僕はアルを傷つけてしまうことになる――それを僕が望むか望まざるかにかかわらず”…”いや、そうじゃない”。「傷つくのが本当に嫌なのは誰か」に思い当たったクリス、それ以上の追求を止める。

「時間はまだある。続けて弾くように」

追記 クリス、昼前に帰宅。タオルなし。