しっかり学ぶイタリア語

Questo padre e di Maria.
このお父さんはマリーアのです。

本屋の語学コーナーにおいてイタリア語関連の書籍が占める割合は少ない。フランス語やドイツ語はもとより、スペイン語にさえ負ける有様。そのくせ実はイタリア、GDPでは世界第五位を占める結構な大国なのである。あんないい加減に見えて、実際いいかげんだし（だってお店はお昼から三時までお休みするわ、サラリーマンは歩いて出勤したあげく昼食は家でとるわ、電車は数時間遅れるわ、やたらストするわ、やたら酒場があるわ、昼からワインを飲むわ…以下略）、当然政治もいいかげんで、なぜかテレビ局の社長が首相になったりする。なのにデザイン部門では古来万国が憧れ、またお洒落さとアレグロな雰囲気は世界に名高い。

そんな不思議な国イタリアの魅力に迫るため？、彼の国を訪れたいと思う人は、ぜひこの本でお勉強を。だって彼らは英語を話してくれません――もう、嬉しくなるくらい、さっぱり。本書はどちらかと言えば文法を中心としたテキストですが、適度な難易度の単語と、比較的有用な例文（たまに変なのがある）と、聞きやすい会話音源、入門にぴったり。文法だけであるとか、会話だけであるとかならば、他にもいくつか選択肢があるのですが、本書は最も両者のバランスが取れているように思えます。ざっと終わらせて、以後は会話中心のテキストに移ると吉。なお、日本で手に入る文法系問題集はあまり素敵なのが見あたらないのでご注意を。