はじめての構造主義

はじめての構造主義 (講談社現代新書)
レヴィ・ストロースは、主体の思考の手の届かない彼方に、それを包む、神話的な思考の領域が存在することを示した。それが神話である。神話は、一定の秩序――個々の神話の間の変換関係にともなう<構造>――をもっている。この<構造>は、主体の思考によって直接とらえられないもの、”不可視”のものなのだ。

しばしば「構造主義なんて時代遅れ」と言われながら、じゃあ構造主義って何?と問い直すとあまり答えられる人がいない構造主義。あらゆる全ての(数学さえも!)”真理”を相対化しながら、その向こうに”神話”なるものの存在を語る構造主義。もちろん私にもよくわかりません。と言うわけで、これはそんなこんな私たちに向けて書かれた素敵な一冊で、ソシュールだのレヴィ・ストロースだの、名前は聞いたことあるけどなあ的な人物の恐るべき偉業から、うっかり目眩がしそうな現代思想の煌めく星々の世界へ切り込む手引き書。これまで私が読んだ限り橋爪大三郎の最も良い仕事ではないかしら。
必読。必読。