シンフォニック=レイン

シンフォニック=レイン DVD通常版

クリス。
目を覚まさない。大丈夫だろうか。熱がある。私が悪かったの。お腹は空いていないんだろうか。お願い、目を覚まして。いつから眠ってるの? ごめんなさい。そんなつもりじゃなかったのに。トルタに任せなくちゃ。私じゃ駄目なんだ。クリス。どうして私じゃ駄目なんだろう。目を覚まして。クリス。もうあんなこと言わないから。どうしてあんなことを言ったの? 見守っているから。熱が下がらない。愛してる。クリスのフォルテールが聞きたい。笑顔が見たい。歌を歌ってあげなくちゃ。そして言うんだ。私のおかげだねって。トルタ。ごめんなさい。クリス。好き。好きなの。私のことを、忘れないで。思い出さなくていいから。お願い、思い出して。私はここにいるから。愛してる。
クリス。
――思い出して


おそらくアルは、最初から、クリスの本当の気持ちを知っていた。クリスが本当に好きなのは、彼女ではないということを。それでもアルは、クリスが好きだった。だから、フォーニとなって、最後の時を、彼女がかつて夢見たように、最愛の彼と共に過ごせたことは、彼女にとって何にもまして、最高の幸せだったに違いない。彼女はクリスの恋人として3年間を過ごし、トルタの姉としてクリスに本当の心を”見出させ(それはつまり、彼に本当の想いを”思い出させ”ることである)”、そして「約束」通り、帰ってきた二人に見送られて、天に帰る。それこそが、このあまりにも切ない物語たちを、「愛の物語」へと昇華させる、フォーニという奇跡。
間違いなく終わりが来るからこそ、とてつもない悲しみがあるからこそ、
今を生きるという幸せは、限りなく輝く。

I'm alright, I love you, I love my life,
I'm always close to you