世界人名ものがたり―名前でみるヨーロッパ文化 (講談社現代新書)

世界人名ものがたり―名前でみるヨーロッパ文化 (講談社現代新書)
朝、ソックスを片方だけはきかけて立つ四フィート十インチの彼女はLoだ。ただのLoだ。スラックスをはくとLolaだ。学校ではDolieだ。正式にはDolores。しかし、私の腕に抱かれると彼女は、いつもLolitaだ。

   ."Lolita" Vladimir Vladimirovich Nabokov

Doloresは悲しみのマリア、すなわちMaria de los Dolores。Loは小柄で子供子供した感じ。Lolaにはスラックスをはいた彼女の「女性」の雰囲気。Dolieは生徒が互いを呼び合う気軽さが、Lolitaには愛する女性を思わせるものが。などという具合に例を挙げながら名前の起源と変遷を示してくれる楽しい読み物。美しきアテキーヌのアリエノール、星の野の聖ヤコブ  .サンティアゴ・デ・コンポステーラ…名前の背後にある物語と歴史はそれぞれ実に興味深い。ただし、後半は名前の羅列になるのでだれてしまうのが残念。