ヨコハマ買い出し紀行

ヨコハマ買い出し紀行 12 (アフタヌーンKC)
世界はどういうわけか水に覆われつつあって、主人公アルファは客の来ない喫茶店で一人マスターの帰りを待つ。などと書くと冷たくシュールな気配がするけれど実際はあくまで朗らかな手触り、一種ユートピアなのである。とは言え『水域』と同じく舞台となる世界は何らかの終末後なので生き残る人々はごく少なく、加えて水位はなおもじわじわと上昇を続けているから、世界は間もなく海に沈むだろう。ロボットのアルファは歳を取らないままに、人の世界の終焉を見取る定めにある。そんな彼女を取り巻く朗らかな日常はとても幸せで、だからいつもどこか切ない。