クラナド 覚え書き 途中

Hearts of Family

光のかけら…人を(一時的に)カムバックさせる力。人の想いが街のこころに届いた時に現れる
街の願いの力…大きな奇跡を起こす力。街のこころの奇跡。多くの光のかけらを返したとき発動する
街のこころ…大きな家族としての街を見守る歌的エネルギー。人々の祈りや想いで成り立ち、街=すべての人々=家族の幸せを願う

■ことみ(主人公=救済者) また響くバイオリン
世界的な多元世界研究者夫婦の娘.。幼い日、自身の誕生日に、彼女を残して学会に出かけた両親を、飛行機事故で亡くす。哀しみと混乱の中、父母の研究の精華である書類を焼き捨てた彼女は、以来、贖罪のため、そして父母の影を追い求めるために、関連の記事を片端から切り抜き収集。ただ一人図書室に籠もる。
しかしその書類とは、両親が彼女へのプレゼント選びに取り寄せたパンフレットなのだった。長い年月の末に遠い海から流れ着いた両親のトランクの中には、あるべき研究書類の代わりに、ぬいぐるみと彼女へ宛てた「誕生日おめでとう」の手紙が。両親に他の何よりも思われていたことに気付いたことみは、ついに呪縛から解き放たれ、未来へと踏み出す。世界は美しい。たとえ悲しみに満ちようと…
彼女にとってのヴァイオリン…彼女の幸せな幼年時代、そして家族の象徴

■美佐枝(主人公=傍観者) あの日にさようなら
若き日の学園時代に出会った、どこからともなく現れ、幻のように消えた少年の面影を追いかけながら、今も学園の寮母をしている彼女。しかし彼は、彼女と出会った時点ですでに亡き人であり、街の思いの力(光のかけら)でよみがえり、彼女に思いを告げに来ていたのだった。主人公の夢の話から、自らの飼い猫こそが彼の生まれ変わりであることを感じ、その終わりのない思い出から解き放たれる。

■有紀寧(主人公=救済者&被救済者) いまならわかる
厳格な家族の元で育った優しい娘.。ドロップアウトし家族から「不良」のレッテルを貼られた兄を慕うが、距離の取り方に悩んでいた。しかし彼の事故死を切っ掛けに、彼の友人達であった不良の中へと歩み寄る。その独特の雰囲気で不良たちから慕われ、ねえさんと呼ばれることになった今も、たった一人、資料室で誰かを待つ。
家族と断絶された主人公に惹かれ、墓前にて兄にもう一人ではないと告げる。

■智代(主人公=被救済者) 超ダメな主人公に聖母降臨
不仲な両親の関係に嫌気がさし、中学生時代は喧嘩三昧の日々を送る。しかしそんなある日、自動車に飛び込んだ弟が、たった一人家族を結びつけようとしていたことに気づき、再び家族のもとへと戻る。弟の車いすを押しながら通った桜並木、再開発で切り倒されたその美しい姿に感動しながらも、素直に感想を告げられなかったことを悔やみ、学園前の桜並木を守るため生徒会長就任を誓う。
「子供はある年頃になると普通、グレるんだ。グレない理由ってなんだと思う? それは家族だ」
智代ルートでは、すでに成長をとげた彼女の美しさと、年上にもかかわらず未だそこを抜けきれない主人公の醜さが徹底的に対比される。文句の付けようのない彼女と、問題の塊である主人公。周囲の目に耐えかねて逃げ出した彼を悲しい目で見送り、それでも自らの光の当たる道へ進む智代。支えを失い、ますます堕落していく主人公。ここで別れたかに見えた二人の道だが、捨て身で思いを告げる彼女の心が、ついに主人公のねじけた心を救う。

■杏(主人公=同格) 君が望む永遠ふたたび
二年生時のクラスメイト。椋の双子の姉。主人公に惹かれているが、主人公との気の置けない関係を失う可能性への恐怖から、同じく主人公のことが好きな妹に彼を譲るべきだと思いこむ(もうとする)。主人公と妹の仲が進むにつれて自らの想いの深さに気付き、絶望の中雨に濡れて立ちつくす。
杏に仲を取り持たれ、何となく椋と付き合い出す主人公。居心地のよさのどこかに違和感を感じる。椋とキスをした時、その違和感の原因、つまり彼女を通して杏を見ていた事実に気付いた主人公だが、臆病な心のせいでそれを告げることができない。しかし雨の中立ちつくす杏を抱きしめ、想いを確信した彼は、ついに椋に別れを告げ、杏の手を取るのだった。

■椋(主人公=傍観者) もう一人じゃない
級長。主人公に素朴なあこがれを抱く。姉のはからいで主人公と付き合うことになるが…
or
肉骨種におかされながら全国をさすらう元陸上選手、柊勝平と運命の出会いをし、まもなく恋に落ちる。「この足は僕のすべて」と死をも辞さず足の手術を固辞する彼を、自分が支えると誓って翻意させ、二人で歩み出す。
いちおう主人公と彼女のエンディングは存在するものの、主人公の気持ちはもともと彼女の上にないため、エンディング以後杏ルートになる可能性も否定できない。彼女の真のルートはやはり勝平とのシナリオであろう。

■風子(主人公=お手伝い) 彼女は今日も眠る
交通事故以来二年間眠り続ける少女。自らの最期を悟り、彼女の通う高校の教師でもあった姉の結婚式を学校中で祝うため、(おそらく街の願いのかけらで)幻想体として蘇る。結婚式への参加の代償として生徒たちに木彫りの星(=光のかけら? ヒトデと言い張る)を配り続けた彼女だが、目的が達成されるにつれ存在が薄れはじめ、ついに主人公の記憶からも消え失せる。しかし結婚式の成功で集まった人々の願い、街の願いの力が奇跡を呼び、目覚めるのだった。

■朋也 世界でたった一人の男
幼い頃に母を亡くし、父直幸と二人で暮らす。中学時代は優秀なスポーツ選手だったが、父との喧嘩で右腕を故障し、特待生の枠から外された結果堕落する。事件以来主人公を家族として認識できなくなってしまった父を見るのに耐えきれず、同じく特待組を追い出された友人陽平の部屋に入り浸ってどうしようもない日々を過ごす。
そんな彼が古河渚と出会った日、すべてが始まる。

■渚 街のこころ。
劇団志望の父秋生と、教員早苗との間の一人娘.。幼い彼女は両親の帰りを、毎日門の前で待つ。ある寒い冬の日、高熱を出した彼女は、それでもやはり両親の帰りを門の前で待ち、命を落とす。町はずれの草原で泣き崩れる秋生の祈りが街のこころに届いた結果、街のこころと彼女は一体化し、甦った。以来両親と3人、これ以上ないほどの家族愛に満ちた生活を送るが、原因不明の高熱が彼女の命をむしばみ続ける。
朋也と出会い、結ばれ、ささやかな幸せを望む二人。しかしこころのつながりのない人々による街の再開発が、彼女の命でもある「街のこころ」を傷つけ、彼女の体を弱らせていく。子供をもうけた彼女は自宅出産を希望し、高熱の中に汐を産み落とすが、まもなく帰らぬ人となる。

■汐 街のむすめ。朋也と渚の娘.。
母の死と同時に彼女の命である「街のこころ」を受け継いだため、母と同じ宿命を科せられる。渚の死によるショックで朋也が家庭を顧みなくなったため、祖父母の古河夫妻のもとで育てられた。
彼女が五歳になった時、早苗の計らいで嫌々娘と二人旅に出た朋也は、軽蔑する父直幸が、愛する妻を亡くしながら自分を育て上げてくれたことを実感し、翻って自らのふがいなさを悟る。汐を渚との思い出のアパートに引き取り、彼女の思い出を語り、幸せな日々を送る二人。
しかし彼女に科せられた宿命は、容赦なく汐の命を削り始める。日ごとに衰弱していく汐。ある寒い冬の日、二人は旅にでることを決意した。だがその途上、ついに汐は命を失い、絶望の中に朋也も倒れる。白濁していく意識の中、彼の耳に聞こえる声。「私の思いを集めて」…。
すべての日々はループに入り、砕けた世界は再構成されて、一つの奇跡のために動き出す。

■街のこころ。願い。奇跡発動
朋也が関わるべきすべての人々の幸せが叶えられ、皆の祈りがつながったその時、街のこころは癒され、ループは閉じられる。渚から街のこころは分離し、街の願いが叶う場所へと世界は収束する。
町はずれの病院、もとのあの草原で、風子は誰かの気配を感じる。それはとても暖かく、可愛い、幸せに眠る誰かの匂い。

ここ以下わりと根拠レス

■幻想世界
朋也の心象風景。人々のつながりの薄れた、「街のこころ」の世界でもある。常に雪が降り、二人以外に誰もいない。渚を失い、汐も失った朋也が引き込まれた世界。旅の終わり、物語の終わりと共に消滅し、街のむすめは草原の片隅で日差しに照らされて眠る。

■朋也、渚、汐、街のこころ あやふやな考察
・朋也はループに入る前、汐の喪失と共に消滅しているため、本編における朋也は街の願いのかけらで甦った幻想存在であると思われる。故に一番最後まで風子を確認できたり、猫の夢に同期できたり、光のかけらを確認できたりする。特に彼の心象風景が、「街のこころ」の世界と酷似していたため、この傾向はより強まったと考えられる。

・渚はループに入る前に命を失い、「街のこころ」と一体化しているので、本編の彼女は、「街のこころ」という命の上に彼女の人格がのせられたもの。渚’とでも言うべきか。ループが閉じられた瞬間、復調した「街のこころ」は渚と分離し、奇跡はかつて失われた渚の命を再構成する。

・汐は母から「街のこころ」を受け継いでしまったため、自らの命を持ちながら、幻想世界に引きずられて消滅する。彼女の死と同時に幻想世界へと引き込まれた朋也に仮想の命を与え、世界のほころびを修正するように願ったのも(「街のこころ」側にかなりのイニシアチブを取られてはいるものの)汐である。ループが閉じられた際、汐は汐として産まれることができた(なぜなら彼女は命を持っており、「街のねがい」もまた既にかなえられている)ため、渚から受け継がれるはずだった「街のこころ」は完全に分離して再生した。

・秋生の祈りに応えて渚を甦らせたかに見える「街のこころ」だが、実際それもまた瀕死の状態であった。人々のつながりが薄れる一方の街で、それがうった起死回生の一手こそ、渚との同調だったのだ。
「街のこころ」は人々の幸せ、つながりを求めているが、本編スタート時の街はつながりの薄れた状態。ゆえに彼女は人々とのつながりを持ちにくく、坂の手前で足踏みする。同時に「街のこころ」の存在は人々のつながりによるものなので、これが取り戻されない限り、リカバリしない。
ループが閉じられた時、朋也と渚、そして汐の旅によって街のつながりは取り戻され、街の願い、すなわち「人々のつながりの再生」そして「朋也の幸せな家族」もまた叶えられた。