クラナド

クラナドを途中まで遊ぶ。登場するヒロイン達のほとんどがまるで子供。当然メインヒロインも子供。KEY作品の伝統なので仕方ないのだが、やっぱりどうにもやりにくい。素直で物わかりの良い人見知りする小学生を相手に無理やり恋愛、というか保護しているような気分なのだ。どこかで「人間もどき相手に恋愛は成立しない」という表現を見かけたがこれはじつに言い得て妙。

とは言うものの、中には割合きちんと高校生っぽいヒロインも数人いるのだ。というと十分多い様な気がしてきたが今回の作品はやたらと登場人物が多いので数人という数は十分ではない。と思ったらONEやKANONの登場人物も十分多かったなあなどと考え出すと止まらないので多少の是非はさておき

きちんと自己主張をし、主人公と対等の視点で語り、主人公への依存度の低い彼女らは、比較的高校生らしく見える。つまりこの作品の中では非常に特殊な存在で、個人的に素直な好感を持てる数少ないヒロインたちなのだが、残念なことに彼女らのシナリオはどうにもムリが出ているきらいが強く、読了後の爽快感が少ない。読者と主人公の意識の齟齬が大きすぎる、とでも言うべきか。

というのも主人公が受け身で鈍感な上に奥手なため、設定上こういった依存度の低いヒロインとの相性は最悪と言える。彼が動かなければ彼女らは去るし、彼が求めないのなら彼女らも求めない。かくして不幸にも彼女らに好意を持った読者は(主人公を操作できないことに)イライラを募らせながら、ひたすら主人公の愚挙に付き合うしかない。挙げ句の果て脇役とヒロインが様々な苦難の果てに愛し合い結婚、などというものを見せられるにあたっては私は一体なにをやってるのでありましょうか、風のしょんぼり気分になること請け合い。

そりゃまあ不良にもなるわ、という具合のヘタレさを十分に発揮してくれた主人公。なんだかやる気がいっきに飛んでいってしまった。どうしようかなこのあと。