日本の漫画やアニメのなにが素敵かって、こういうものを子供が見られる、ってことだと思います。そして同時に、そんなものを受け入れられる素地が日本にはあることでしょう。非常に複雑なストーリー、多層的な物語構造、意味論の世界にまで踏み込まれたプロット。芸術とエンターテイメントのハイブリッドが、雑誌やテレビにひょっこり現れる。
確かに、革新的なアイデアはないかもしれない。しかし、合成されて生み出されたものは間違いなく革新的な産物です。ことに、参考もとへの理解がしっかりしている場合は。そして理解がしっかりしていない場合も、それはそれで革新的にヘンテコなのができあがる。尊敬はされないとしても。
あらゆるもののまねっこが得意だと言われる日本ですが、このレベルに到達できるのですから、まねっこで何が悪い。特にこのジャンルは、日本へのいわれある/なき中傷への反証ではないでしょうか。これはそうそう作れませんよ。アニメーションではないアニメ、コミックではない漫画。見ればわかります。それは全く違う。
毎日のように物語が生み出され、消費され、また語り続けられる島。世界の文化の中心から遠く離れ、世界の現実認識からも隔絶されている。世界の歯車の軋みを聞きながら、まだ知らない世界を夢見る日本という国は、だからこそ、あらゆるものへの憧れを持ち続けることができるのかもしれません。それはとても幸せなことだと思います。