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マルコとレベッカは朝から仕事にでかけた。一方僕は二度寝をする。昼頃起き出してサンマルコ広場方面に散歩。あまりに暑いのでリアルト橋付近の帽子屋ボルサリーノで麦わら帽を物色する。シーズンオフなので五割引である。しめしめと値札を見ると180ユーロとか書いてある。半額でも90ユーロ。来た店が間違っていたと反省して向かいのお店へ。
こちらはパナマ帽を扱っているお店で、40ユーロ。「普通のパナマの他にモンテクリストもあるけど…」とおばあさんが言うので、ちなみにいくらと聞いたら185ユーロだった。もう! 僕は麦わら帽を買いに来たんです。結局もう少し負けて貰って30のを購入。ニコニコとお店を出たら雨が降り出した。もう!

雨宿りを兼ねてヘンリーコットンを覗くとこちらも値引き中。短パンを一本買う。猫の本屋を冷やかしてレベッカの家に戻ると、今日は真夜中まで仕事のはずのマルコがいてニコニコしている。「聞いてくれ、今朝警察にコネのある友達に例の罰金のことを話したら120ユーロにまで減ったんだ」。2400ユーロがコネ次第で120ユーロに変わるらしい。イタリアは。
嬉しさのあまり仕事を早引けして、以前から欲しかったオメガの時計を買うことに決めたらしい。マルコに付き合ってサンマルコ広場の背後、高級ブティックが建ち並ぶエリアのいかにも高級そうな時計屋へ。ドアの脇の呼び鈴を押すとスーツのむちゃくちゃ似合うむちゃくちゃ格好いい黒人が鍵を開けてくれる。
あいにくマルコの目をつけていた時計は売れてしまっていて、変わりのをためすがめつ見ていたマルコは結局諦めた。一方応対してくれた長髪のイタリア人店員が無関係な僕に妙にいろいろ聞いてくるので変であるなあと思っていたらあとでマルコは「あいつはホモだ」とか言う。ひい。
仕事終わりのレベッカと落ち合って、フランチェスコの酒場で食前酒を飲む。以前ここで彼女のヴェネツィア大学社会学部の卒業祝いをした場所でもある。「学士獲得おめでとう、学士、学士、尻の穴学の学士獲得おめでとう」とかそんな歌を歌った。新鮮な魚料理を気まぐれで作ってくれる素敵な店だがうっかりしているとえらい高くなるので観光客は注意しなければいけない。ヴェネツィアで注文する時は絶対先に値段を聞くべし。
二人と別れて駅近くのマテオのバールへ。列車の出発まで10分しかないのにまだ切符を買っていないという大惨事ではらはらしながらここの名物肉団子ポルペッタとサンドイッチを二つずつ包んで貰い、イタリア映画のたくさん入ったDVDをいただいて駅に走った。