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ルカの運転するバイクの後ろに乗ってサンベネデットポー修道院に出かける。元来大湿地帯だったポー川周辺を数百年かけせっせと灌漑した修道会で、イタリアのクリュニーともよばれる重要巡礼地である。
例えばpegognanoと呼ばれる町は,ペグスマルグスとか何とか言うラテン語から来ていて、その意味は[腐った池]。始終じめじめして夏になれば蚊の大軍が押し寄せる、恐ろしい土地だったのが,今ではイタリア一の穀倉地帯であり、最も豊かな地域になったのも、元はと言えば彼等の御陰。

その名もSanBenedettotoいう小さな町は、町に修道院があると言うよりも修道院に町がついている人でも行った方がよさそうな風情。
折しも修道院前の広場では巡回遊園地の遊具が設置工事中で、背後の荘厳な、むしろ鄙びた建物と遊園地のギャップが面白いというか凄い。
受付に行ってみるとお婆さんが『後30分しか時間が無いからおまけで無料にしてあげるわ 』と言いながらチケットを来ってくれる。
先導付き見学は結局1時間半じっくりしてもらえた。大聖堂から修道院の回廊を巡り、最終的に第地下ワイン倉庫まで往時の修道会の実力を垣間見る。

見学後、修道院向かいのレストランcacciapensieriでmantova風リゾットを食べる・
リゾットには大きく2通りの調理法があって、1つは少しずつブロードをかけながら炒めて行く方法。もう一つは水を入れた鍋に、お米をピラミッド状になるように入れ、その頂点が水面に来る様にしてからフタをしてコトコト炊く方法である。
個人的には後者の方が好きなのだけれど生憎ここでは前者の普通の炊きかただった。

ガルダ湖の畔、ペスキエラデルガルダからエウロシティに乗ってveneziaへ向かう。
まず20分後れて到着した列車は、ついにveronaで機関車の故障により運行停止。15分後のエウロシティに乗りかえてくれとアナウンスがあって皆ブツブツ。余つさえ『追加料金はいただきません』とかのうのうと言うのである。バカな! イタリア国鉄は本当にもう。

6時前にveneziaに到着。stradanuovaをてくてく歩いてリアルト橋に向かい、水上バスの停留所でマルコとレベッカに会う。レベッカは元級友で、マルコは彼氏の船乗り。
なんだか疲れた顔をしているので聞いてみると、数日前の風の強い日に、水上タクシーを係留禁止箇所に停船させた廉で2400ユーロの罰金を命じられたとかで気の毒なマルコはげんなりしているのであった。
フォンダメンタサンセベーロにある彼らのアパート近くで、面白い本屋に入る。店中に雑多な本が出鱈目に積んであるのだけれど、よく見るとそれぞれ舟の上に詰まれている。さらにその本の上には、彼方此方猫が寝そべっている。
こうしておけばいざアックアアルタが来た時、全員まとめてそのまま避難できて楽なんだと、太鼓腹の店長は言った。 なんだか漫画みたいである。
結局, [intimo] i segreti della corsetteria: dal sogno alla provocazione, dai tessuti ai capi finiti. cultura, moda, psicologia (『 極めて内面的な』 -女性下着の秘密:最高の生地から創られる挑発する幻想。文化的、流行、心理学的見地から- ) という本を買う。