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朝九時の列車に乗ってエミリアロマーニャ入り、モデナでインターシティプラス(特急)に乗り換えてマルケ方面へ。州都ボローニャをすぎたあたりでエアコンが故障したらしく炎天下をひた走る(言葉の綾である、イタリアの列車は特急程度では必ずしもスムーズに走ってくれない)列車はサウナと化し乗客は皆死にそうな顔をしている。指定席が取れなかったためドア付近でスーツケースに座っていたのだがおじいさんがデッキに出てきて「わしはもう疲れきってしまった」とぼやく。ジャングルは地獄である。海水浴場で有名なリミニ付近で一旦回復したものの、五分後にまた停止してみんな半泣きである。海を左手に見ながら走ったり止まったりする列車は三十分遅れで目的地サンベネデットデルトロントに到着。
先日ミラノで別れたファビオとオーラ、そして級友のドワイトが出迎えてくれた。ドワイトはアメリカ人の外科医なのだけれどアメリカにうんざりしていたところに可愛くて若いイタリア人の女の子に入れこんでしまい、うっかりマルケにアグリツーリズモを買ってしまった。ちなみに振られたそうである。かわいそ、かわいそです。
「暑いから海にいこう」とそのドワイトがいうので四人でてくてく歩いて海水浴場へ。短パンをはいていたのでちょうどいいやとざぶざぶ泳ぐ。ひとしきり泳いで疲れたところでファビオがおもむろに浜辺に円を描き、「お城をつくろう」。合計年齢80を超える三人組(日本人、イラク人、インドイタリアハーフ)の怪しい三人組がせっせと働いた結果、自分たちでもあきれるような見事なお城が完成。通りがかる海水浴客がほぼ全員振り返り、お子様たちはわらわらやってくるようなできばえである。すごい。
駅から30分ほど走った郊外にドワイトのアグリツーリズモはある。欧州の規定で自家生産物の使用量などが決められているので正確にいうとベッドアンドブレックファーストなのだけれど。同じく級友でマルケ出身のラファエレにも再会。彼はドワイトの共同経営者である。ちなみに地元に可愛い彼女がいるのに大学では爆乳のクラスメイトに手を出して平気な顔をしていた男である。ただしその爆乳も地元にちょっとアホな彼氏がいたのだが。
途中で買い込んできた魚とソーセージと野菜でバーベキュー。日が落ちるか落ちないかのタイミングで襲い来る大量のミニ蚊。こいつらはやたら図太くて電動ベープ一つくらいでは到底どうにもならない。だから蚊取り線香を一箱買おうと言ったのに。蚊よけスプレーを塗りたくってもやってくるのだから尋常ではない。景色も立地もすばらしいけれど蚊だけはどうにかならんものか。