京アニ批判と論点

一昨日の記事(京アニだって駄作は作る-リンク)に言及して頂いた皆さま、ありがとうございます。韓国のサイトからもリンクをいただいたらしく、今後うかつなことは言えないななどと思っている次第ですが、補足とコメント。
なおコメント欄は、以前vipperのお友だちに大挙ご来訪頂いた時以来、はてなユーザー限定規制をかけています。ご迷惑をおかけしますが、どうしても僕を罵倒せずにはいられない皆さまはどうぞ当サイト最下部Web拍手にてご連絡下さい。暖かいコメントは現在0件。*1


■僕は基本的に京都アニメーションを高く評価しています。僕の評価基準はストーリー>作画(ほかギミック)ですが、そのどちらも極めて高いレベルで満たしてくれる制作元だからです。
ストーリーに関して言うなら、彼らの作品には常に明確な論点(テーマとはあえて言いません)がありますし、一方技術的なことに関しては、僕が言うまでもないでしょう。*2
具体例を挙げるならば、『涼宮ハルヒの憂鬱』第10話。


 
This episode is just awesome.

主人公キョンを巡って二人の少女?が対立する。たったこれだけの内容の中に、どれだけのパロディやオマージュやジョークが詰め込まれているかといったら、それはもうものすごいものでした。映像もまた極めて魅力的。
けれどそれは、あくまで全14話の中にピッタリはまるもの、全体の意味の中の一つのピースをなしています。*3 *4


 
"Super-sized!" or "super-size me!"?


■僕が京アニに対し、「論点を持っている」と言うのはこの点です。冗談結構、作画クオリティ結構、けれどやはりストーリーがあってこそのアニメ。彼らはその規則にけして背きません。
彼らは自分たちが何について描いているかに、酷く自覚的です。だからお遊びをしても、そこからはみ出すことがない。言い換えるならオチが付く。これは多くのアニメ制作現場が見習うべきポイントだと思います。

実際『AIR』にしても『TSR』にしても、上記の点はイエスと言えるでしょう。彼らはそれらにおいて、原作の論点(何が言いたいのか)に忠実にストーリーの再構成を行い、高レベルな映像で魅せていました。
故に、それらがつまらないとしたら、その責の多くは原作に帰されるべきだというBMコメント(リンク)は正論でしょう。
ただし、だとしても、それらは結果的に、つまらない京アニ作品であることもまた確かです。*5


Kanon ~Standard Edition~
■僕はデジタルノベルファンとして、『KANON』を偉大な記念碑だと思います。
そしてそれを今、京都アニメーションが手がけていることは、本当に幸せなことだとも。ただ現実的に、『KANON』は誰にでも勧められる作品ではありませんでした(18禁だったことは別にして)。それでも彼らは高レベルな作画とギミックで、KANONアニメを魅力的に仕上げて行くでしょう。けれど、そこには二つの落とし穴があります。

その一つは、彼らが映像と技術だけで褒めそやされてしまい、その論点については忘れ去られてしまうこと(『AIR』の時のように)。
もう一つは、彼らが原作に忠実でいる限り、あのお話はきちんと収束しないこと(『TSR』の時のように)。

だからこそ、僕は京アニKANON』の結末に大きな関心を持っています。原作も匙を投げたあの結末*6に、彼らはどういう答えを出すのか。今度こそ期待はできると思うのですが。



画像引用:
http://www.designchronicle.com/memento/archives/suzumiya_haruhi_no_yuuutsu_ep10.html
著作権
http://www.haruhi.tv/

*1:「もっと客観的な記事書けよ」「違法でも,困った時は YouTube 」「文章の中身が拙いのは仕方ないですが、サイトデザインぐらいはまともにしたほうがいいですよ」「イ」「ハルヒみたいな電波は駄作中の駄作だろ。AIRのほうがよっぽどいいわ。」「タイトルにセンスがないんですよ。これ系統のサイトは自分で煽っとイて炎上とか馬鹿すぎますよね(笑」「貴方の一つ一つのClaimに対してReasonが全く説明されていない」「批判じゃなくて批評をしてほしいですね」「批評とは価値を決定するものではなく、意味を探究する作業だ」「・・・若いね・・・ハルヒは子供展開だよ。あれは」他。なお「タ」「ウ」各一件。

*2:「そんなことはどうだっていい、娯楽作品としてのアニメに求められる第一要件はノリと燃えだ」と主張する人とは視点が違う、ということでもあります。その意見を否定はしません。主観の問題です。

*3:参考:ハルヒの隠された宇宙語 http://omomani.blog53.fc2.com/blog-entry-1780.html

*4:Memento http://www.designchronicle.com/memento/archives/suzumiya_haruhi_no_yuuutsu_ep10.html

*5:注を入れるべきでしょうか。「京アニ作品にしては」。

*6:Miracle-Synthesis