ローゼンメイデン アニメ

ローゼンメイデン 1 [DVD]

皆おまえを愛してるんだぞ。何十年も何百年も前から。
おまえだけを夢見て、おまえだけを追いかけて来たんだ。
何か言ってやれよ。何か答えてやれよ。どうしておまえが愛してやらないんだ。どうして!

“お父様”によって創られ、ひたすら彼を求め頂点に向かおうとする不完全体たち。ただ一つの存在意義、ある熱望と表裏のそれのみを持って存在する彼女ら。その構図、その姿が何の暗喩であるかは言うまでもない。だからこそお父様はけして姿を現してはならなかったし、反対に彼を知らず、その熱望さえ知らないまま存在意義を見失った主人公と彼女らの対比は、二重三重の透かし絵となって第一シーズンを飾った。その美術、フェティシズム的性格の強さが強調されがちな作品だが、実のところ物語としても見事だったと言ってよいと思う。
ところがその続編としてのトロイメントには、なんとそのお父様が登場してしまう。いや、もちろん絡繰りはあるのだが…。実際、最終話で主人公が空を見上げ、「皆おまえを愛してるんだぞ。どうして!」と叫ぶシーンは本当に美しかったのだ。ただ…あの結末はどうにも舌足らずに思えて仕方がない。色々と腑に落ちない点は多いが、何よりもそこで彼が登場するのであれば、そもそも最初からこんなお話は必要なかったのである。第一シーズンが築いた名声、ローゼンメイデンというアニメの名声の挽回ためにも、ぜひflawlessな第三部を期待したい。