ゆうた

しばらく連絡が付かなかった友人の近況を耳にする。妊娠していた彼女の子供が無頭症であることが分かり、堕胎は母胎への影響が強いために死産という形での出産を行ったのだと言う。出生届と時を同じくするはずだった婚姻届は死産届と揃って役所に提出され、彼女は何もなかったかのように振る舞いながら学生生活を再開した。三人住まいとなるはずだった新居は相変わらず北山の山裾に小さな佇まいを見せ、深まり行く秋に彩られて黒くぽっかり際立つ。悲劇というほどの話ではない。ただ小さな、しかし深い悲しみは、予想以上に世界のあちこちに転がっている。望まれず子宮から掻き出される子供がいる一方、望まれながら頭蓋を溶かしていく子供が存在する世界。僕にはよくわからない。全てが偶然だとは思いたくない。さもなければ