ARIA後始末

「なまじヒロインが人間だと設定されているから不自然に感じるのだろうか」という意見を受けて。

さてなんだろうと考える。結局のところ何もかも偽物のような気がするのだけどなあともう一度整理してみたところ、考えるまでもなくやはり舞台そのものが胡散臭いのでした。だって実に素晴らしい架空の世界(それはとても我々の世界に似ているけれど我々の世界ではない)をばーんと設定して、「ほーらこんなに素晴らしいでしょうこののどかな生活」と素直に自慢されてもそりゃあなたそういう風にできているというかあなたがそういう風に作ったんですから素晴らしくて当たり前ですがな、という気分になる。素晴らしい世界が素晴らしいのは当たり前で、どうしたってそこに悩みなんかが混じり込むのが我々の住むリアル。またそうでなければ意味がない。だからあれは著者さえも半分くらいは気付いている確信犯的仮想世界か、あるいは彼(彼女?)の夢のヴェネツィア風アトラクションです。そんな世界に何の疑問もなく平和に住んでいる存在がいるとしたら、それは結構不気味な何かだとは思いませんか。結局のところ、あそこはヴェネツィアではないのです。そして「じゃあ何なの?」という質問の答えは、結構空虚なものとなるでしょう。このタイトルは見事に付けたものです。