さくらむすび

さくらむすび


どうすれば、ほどけるのか。


エロゲー批評空間で、マルセル氏があえて思考を止めた理由が分かる。さもなければ、これはきわめて意地の悪い物語になってしまう。本当に意地が悪い。そう考えれば、何もかもが結びつき、手に負えない結縄となる。解け目は見あたらない。だから、見えるものだけを受け入れる。その裏側の違和感に気付いていても、まだ思考と、推論の細道が残っているとしても。それが唯一の、化け物からの既知の逃げ道だから。何ができたのかはわからない。けれど、それでいいのだ、と答えを出して、桜結びを受けとる手はある。むしろ、結んで解いてまた結ぶ、その繰り返しの世界の中で、この結び目が完全にほどけることはないのかもしれない。だとすれば、思考停止は人として許されることなのだろう。けれど、それではいつまでも、桜結びはほどけない。ゴルディアスの結び目は、アレクサンダーの剣によって断ち切られた。けれど今の私は待つばかりである。桜結びが、さくらむすびになる日を。