Gunslinger Girl

GUNSLINGER GIRL 3 (電撃コミックス)
暴行だの大怪我だの身体障害だのもう生きるのに疲れました的な女の子をどんどん洗脳&サイボーグ化して冷徹な非合法作戦に従事させる酷い組織はイタリア社会福祉公社。外向きには障害者支援の政府外各団体、実はバンバーンな先端科学武装組織という設定はちょっと『ジオブリーダーズ』の厚生省に似ています。しかしなぜイタリア。イタリアならもっとファンクな、ほらワインを飲みながら警官の耳を切ったりとかそんな感じではないのか。知らないけど。
ジョゼ♂にヘンリエッタ♀、ジャン♂にリコ♀、ヒルシャー♂にトリエラ♀…と言う具合に保護者&サイボーグ女の子(義体と言う)で構成される作戦単位ペアというかバディーの呼称はフラテッロ、意味は兄弟。たぶん男性形なのだがあちらの文化は骨の髄まで男尊女卑なので男女が複数いる場合の名詞はまとめて男性形にされるのだ。一方日本語にはちょうど便利な兄妹という言葉があるのに使わない辺り、何か含みがあるのでしょうな。
洗脳によって保護者に無条件の信頼を寄せるサイボーグ女の子たち。それに愛着を感じてしまうおやじ共。いやほら、いくら殺人マシーン扱いしても、偽りの信頼に自己嫌悪気味だとしても、分かっていても可愛いものは可愛い。しかし洗脳は同時に彼女たちの記憶を片端から奪うので、いくら仲良くしても無駄なのであった。根本的に空しい。この空しい執着の処理を巡る愛憎、本作は実は悩めるおやじたちの物語なのです。