『ホメロスを楽しむために』 阿刀田高

ホメロスを楽しむために (新潮文庫)
「知識人のふりをするならホメロスくらい知ってないといけない気はするけど奴ら古典だしなあ今更読むのは面倒だなあ」などと日頃考えている人に持ってこいのネタ本。名前だけは誰でも聞いたことのある『イリアス』『オデュッセイア』両著からエッセンスのみを抽出し、阿刀田氏が適当に主観を交えて編集した。当然趣は原書とはかなり違う。しかしよく考えてみれば、そもそも和訳された時点で原典ではないのであって、和訳の原書(変な表現だ)を読もうがこれを読もうがその本質は変わらないのである。文句はギリシア語だかラテン語だかの原典に当たった人にのみ言ってもらおう。