トロイアの王女

カサンドラ。というと某獄長がいる監獄都市を思い出す人が殆どに違いない。北斗の拳でひどいイメージにされてしまったが、カサンドラとはもともとトロヤの王女の名前である。それもただの王女ではなく清楚で可憐な美少女という設定。あんまり可愛いからアポロンが手を出そうとしたくらいに可愛い。しかし彼女は清楚で可憐なだけに身持ちがとても堅かった。さすがのアポロンも無理やりは気がとがめたのか、(援交の)引き替えとして彼女に未来視の能力を与えることに。
さてカサンドラは可憐なだけでなく頭も良かったので、早速未来を覗く…とアポロンにうち捨てられ泣いている自分が見える。やっぱり嫌だと思い直し、服を脱ぎますからあっち向いてとかなんとか誤魔化して走って逃げた。一方残されたアポロンは怒り心頭、カサンドラに「彼女の言うことを誰も信じない」という呪いをかける。彼女が正確な予知をしても、誰も耳にしてくれない。つまり、以後彼女は常に変更不可能な未来を正確に見続けるはめに。そうこうしているうちに木馬事件でついにトロヤ落城、可哀想なカサンドラは奴隷に身を落とす・・・。
ああ、いくら神様を騙したからといってやりすぎだと思う。もともとアポロンが無理強いしたのが悪いんじゃないか。あげく遙か未来、現代日本では獄長の街の名前である。うかばれない。などと思っていたら先の映画『トロイ』ではカサンドラは登場すらしないのだった。ある意味存在自体が抹消されている。とことん不運としか言いようがない。誰かどうにかしてあげてよ。それにしてもカサンドラの物語、かなりドラマチックだと思うのだけれど、どうしてあまりクローズアップされないのかしらん。やっぱり救いがなさすぎるからかなあ。